連載/ゴン川野のPC Audio Lab rainbow「LIFEEAR Flow」
カスタムIEMを多くの人の耳に届けたい
rainbowは最速1日で完成できるカスタムイヤモニター「LIFEEAR Flow」シリーズのクラウドファンディングを開始した。販売価格5万8000円が超早割なら、4万5240円で入手できる。
別途、採取した耳型と有線で使う場合にはMMCX対応ケーブルが必要。4種類のシェルから好きな色を選択できる。終了日は6月10日を予定。
rainboww代表取締役 朱静儀さんは歌手活動の中でカスタムIEMと出会い、その素晴らしさに感激したが、高価であること、納期が長く修理にも時間がかかること、有線でしか使えないことなどの弱点にも気付き、これを解消して多くの人にイヤモニの良さを知ってもらうためrainbowを立ち上げ「LIFEEAR Flow」を製品化したという。
rainboww代表取締役 朱静儀さんはカスタムIEMを作るために会社を立ち上げた
カスタムIEMの不満点として、高価格、納期がかかる、無線未対応をあげた
3Dプリンターとモジュール化でコストと納期を抑えた
カスタムIEMの納期がなぜ長いのかを検討すると、まず耳型からハウジングを形成するのに時間がかかる。次に完成したハウジングの中に手作業でドライバーを入れて組み立てる工程にも時間がかかる。そして高価なBA型ドライバーをマルチで使うためコストもかかると朱さんは分析する。
コストダウンのために低域はダイナミック型ドライバーとして、高域のみにBA型を使うハイブリッドを選択した。ドライバーを組み込む部分はモジュール化することでコストを抑え納期も短縮。さらに耳に差し込む部分は耳型から3Dプリンターで印刷する方式に。これにより最短で耳型を受け取った当日に納品が可能になったという。
ハイブリッドのドライバーが入った部分をモジューラー化、インイヤーカナルは3Dプリンターを使って作成する
将来的にはカスタムIEMで聴力を補いたい
WHOの世界聴覚報告書によれば、2050年までに4人に1人が難聴になると予測されている。これは高齢者だけでなくイヤホン難聴のリスクを持つ若者も含んだ問題である。日本では補聴器普及率が15.2%と海外と比較して大変低い数値であるが、補聴器所有者の67%は補聴器が期待通り、あるいは期待以上に役立っていると回答した(日本補聴器工業会の2020年の調査結果)。
朱さんは「LIFEEAR Flow」と専用アプリと組み合わせて任意の周波数帯域を調整、聴力を助ける聴覚補助機能を開発中だという。これを本格的な補聴器を使うまでの架け橋にして、スムーズに補聴器に移行できるようにすることが次の目標であると語った。
イヤホンの世界市場の拡大に合わせて若年層のイヤホン難聴予備軍が増加中