地球温暖化が進行する原因として知られる温室効果ガス。その削減に向けた対策・行動について、日本人はどの程度正しく認知しているのだろうか?
世界最大規模の世論調査会社イプソスはこのほど、日本を含む世界33カ国24,290人を対象に、気候変動に関する意識調査「Earth Day2024」を実施し、その結果を発表した。
日本人が温室効果ガスを削減するために最も効果があると考えている行動は「リサイクル」だったが、「リサイクル」はあらゆる行動の中でも60位の効果であり、温室効果ガス削減のための効果的な行動との間にギャップがあることが明らかになった。
*出典: Ivanova et al., 2020. Quantifying the potential for climate change mitigation of consumption options. Available here
日本人が考える、温室効果ガス削減に最も効果的な行動は「リサイクル」であるが、実際に削減効果がある行動としては60位(グラフ1)
上記グラフ1にある通り、温室効果ガス削減に最も効果があるとされている「車を持たない生活をする」は、日本人の回答では7番目となっており、日本人の認識と、正しい行動との間にギャップがあることが明らかになった。また日本だけではなくグローバル平均でも「リサイクル」は2位にランクインし、最も効果がある「車を持たない生活をする」は8位という結果になった。
一方、地球温暖化に影響していると考える事象の1位は「輸送による大気汚染」であり、地球温暖化に関する知識に大きな相違はなかった(グラフ2)
以下のグラフに見られる通り、実際に最も地球温暖化に影響している要因の上位3位(『輸送による大気汚染』、『森林伐採、農業およびその他土地利用の変更』、『工業、電力と熱の生産』)に入る事象は、日本人が選んだ「地球温暖化に影響していると考える事象」上位3位と大きな相違は見られず、正しく認識されていることがわかった。
*出典:Ivanova et al, 2020. Quantifying the potential for climate change mitigation of consumption options.
**地球温暖化の主要因ではない
今回の調査結果について、イプソス株式会社代表取締役社長の内田俊一氏は以下のように述べている。
「地球温暖化対策、温室効果ガス削減は日本だけではなく世界における喫緊の課題ですが、今回の調査では、正しい知識はあるものの、そのための正しい対策・行動が認知されていないことが明らかになりました。昨年ドバイで開催されたCOP28では、『世界の平均気温上昇を1.5度に抑える』という目標までは未だ隔たりがあり、これを軌道に乗せていくことが世界全体としても不可欠であることが強調されました。
日本に関しては「気候変動パフォーマンス指数(CCPI)」2024年版で、63カ国と欧州連合(EU)の中で58位と評価され、不名誉な『化石賞』にも2度選ばれています。国、自治体、産業、生活者と、それぞれの立場から実践可能な行動は多数ありますが、より効果的に行っていくためにも、取り組みやすさやその行動事例の啓発がより積極的に行われていくことを期待しています」
<調査概要>
・調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
・調査対象:世界33カ国24,290人:インドの18歳以上、カナダ、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の国の16~74歳
・実施日: 2024年1月26日(金)から2月9日(金)
・調査機関:イプソス
出典元:イプソス
構成/こじへい