新年度に入って、スキルアップのために勉強をスタートさせた人も多いはず。しかし、忙しい中、どのように効率的に勉強していけばいいのか迷っている人も多いかもしれない。
勉強法について迷っている人には、米国内科専門医である安川康介先生が、科学的根拠に基づいたハイパフォーマンスな勉強法が参考になる。YouTube再生回数320万回を突破した最高の勉強法について紹介しよう。
科学的根拠に基づいた効果の高い勉強法を
――安川先生は高校時代、ラグビーやお笑い芸に打ち込みながらも、常に学年トップの成績を保ち、慶應義塾大学医学部に入学。卒業時の成績は学年8位。さらに日本の医師国家試験と同時にアメリカの医師国家試験にもほぼ同時に合格されました。そんな先生が書かれた今回の本について教えて下さい。
安川 私は日本の医学部を卒業し、現在はアメリカで総合内科医として臨床や医学教育に関わっています。これまでを振り返ってみて、何とか自分がやってこられたのは、自分が行なってきた勉強法が科学的にみても効果の高い勉強法だったからだと思っています。学習法については、特に過去の100年間で多くの研究が行われており、そうした学習法の論文を読んだ時に自分のこれまでの勉強法とも当てはまることを知りました。
2023年に自分のYouTubeチャンネルで、科学的根拠のある勉強法について論文とともに私自身の勉強法を紹介する動画を投稿したところ大きな反響をいただきました。
動画を観た方から「もっと早く知りたかった」「自分の勉強法に自信をもてた」という声がたくさん寄せられ、複数の出版社の方からも連絡を頂きました。動画の内容だけでなく、多くの方にとって役立ちそうな学習に関する学術的な知見を、今回の本「科学的根拠に基づく 最高の勉強法」(KADOKAWA発刊、定価1600円+税)にまとめました。より詳しく知りたい人はぜひ手にとってみて下さい。
――本で特に意識された点とは?
安川 書籍ではまず、あまり効果的ではないとされる勉強法について紹介した上で、科学的に効果の高い勉強法について解説しました。
本屋にはたくさんの勉強法の本が並んでいると思いますが、科学的な論文をもとに、できるだけ重要な点について、できるだけ分かりやすく、読んだ方が実践しやすいように書くことを意識しました。
他にも勉強に使える記憶術や勉強におけるモチベーション、睡眠や運動の記憶に与える影響についても解説しています。なかなか義務教育では教わらない「効果的な勉強の仕方」について、できるだけ多くの人に知っていただきたいと思います、
「望ましい困難」を脳に与えるのが効果的
――安川先生の勉強法でまず驚いたのが、繰り返し読んだり、ノートに書き写したり、教科書にハイライトや下線を入れる、従来の勉強法はあまり科学的に効果が高くないという点です。
安川 これらの勉強法は、気をつけないと「勉強した気」になってしまうことがあるため注意が必要です。ただ繰り返し読んだり、ノートに書き写したりすることは、脳にあまり負荷をかけなくても行うことができます。効果的な勉強には、「望ましい困難」を脳に与えることが重要だと言われています。
例えば、効果的な勉強には、アクティブリコール(勉強したことや覚えたいことを能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと)が大切だということが、数々の研究から分かっています。私も勉強する時は、この作業を大事にしています。具体的には、新しく学んだ新しい情報を、何も見ずに白い紙に書き出せるか、誰かに説明できるか、ということを意識しています。
多くの人がもつ勉強のイメージは「とにかくたくさんインプットすること」かもしれません。でも、効果的な勉強で大切なのはアウトプットをすることです。