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自他共に認めるほど字が下手な筆者は、目下「美文字」の特訓中。何冊かの美文字練習帳を手に入れ、日々練習している。こうしたテキストブックは、見本のなぞり書きができるなど懇切丁寧だが、宛名書きや手帳書き込みなどの本番では、そうはいかない。なぞり書きを卒業し、本番に移る前段階で注目したのが「原稿用紙」だ。
文章はパソコンやスマホで書くのが当たり前の時代、原稿用紙の出番は少ないが、美文字の練習でこれほど便利なものはない。さっそく探してみると、近所のダイソーで売っていた。
それは、B4サイズとA4サイズの2種類で、どちらも110円。筆者が学校に通っていた頃にあったものと、瓜二つのように見えるが、数十年の間に紙質・書きやすさに改良があったのだろうか。ちょっと検証してみた。
昔ながらの一般的な「B4 原稿用紙」
まずB4の原稿用紙から見てみよう。20字×20行で400字詰めの標準仕様(マス目は10mm×10mm)。これが20枚入っている。製造元は、ノートや封筒など紙文具の老舗企業である協和紙工(株)。
細かい話だが、二つ折りで包装して販売されているため、中央に折り目が入って山形になってしまっている。逆方向に折って平らにしておかないと、中央寄りのマスに書くときに不便となる。
■商品詳細
商品名:B4 原稿用紙
価格:110円
原産国:日本
材質:紙
商品サイズ:25.1cm×35.8cm
種類:-
商品ページ:-
枚数が多くてお買い得な「原稿用紙縦書50枚(A4)」
こちらはA4サイズの原稿用紙50枚が無線綴じされたもの。包装せずに販売されており、買い物袋に無造作に突っ込むと、あちこち折れ曲がってしまうので注意。マス目は8mm×8mmと「B4 原稿用紙」より一回り小さい。美文字練習帳の大きなマス目に慣れている者にとっては、この点が若干のハードルと感じるが、コスパはダントツにいい。
■商品詳細
商品名:原稿用紙縦書50枚(A4)
価格:110円
原産国:日本
材質:紙
商品サイズ:29.8cm×21cm
種類:-
商品ページ:https://jp.daisonet.com/products/4984343131422
高級原稿用紙と比較してみた
では、これら2種類の原稿用紙と、高級原稿用紙との違いを確認してみよう。比較対象の製品は「満寿屋の原稿用紙 No.107」。A4サイズで20×20の400字詰め、50枚入り。1枚ずつ剥がせるよう天糊製本されている。
満寿屋(ますや)は、明治時代から続く由緒あるブランド。もとは贈答用の砂糖箱を製造していたが、戦時体制の紙不足のおりに小説家の丹羽文雄からの要望で、原稿用紙の生産を開始。以来、数多くの文豪から愛用されてきたという。
そんなブランドが生み出した「No.107」は、Amazonの実勢価格で1284円もする高級品。「長時間乾燥の手作り」で、真っ白でなく淡いクリーム色なのは、紙は光の反射を和らげ、目に優しい利点があるからだという。
また、「滲みにくく、裏抜けしにくく、滑らかな書き心地」という特徴もある。これと110円の原稿用紙を比べるのは酷な気もするが、高価だから圧倒的に差があるとも限らない。一番気になるのは書き味なので、万年筆で確認してみる。
やはりというべきか、「No.107」は、書き味が最も滑らかで、書きやすい。しかし、滲むとか裏抜けするといった、それ以外の点については、ダイソーの原稿用紙も遜色なくて、問題と感じるところはなかった。
個人的には、マス目が一番大きいという理由で、B4サイズが書きやすかった。それも慣れの問題なので、費用対効果を重視すれば「原稿用紙縦書50枚(A4)」に軍配が上がるだろう。
撮影・文/鈴木拓也