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スタンフォードでAIを学ぶ医師が説く子どもの算数力を伸ばす勉強法

2024.04.24

2024年3月20日、大手中学受験塾・日能研の池袋校にて、『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』の著者・岩波邦明医師による特別授業が開催された。本稿では、特別授業後に行われた、中学受験を控える小学生の保護者たちと岩波医師、ファシリテーターを務める日能研関東の教務本部マネージャー・安野美羽さんによるトークセッションの模様をレポートしたい。

岩波邦明さん/医師・現役スタンフォード生。1987年生まれ。東京大学医学部卒。在学中に暗算法「岩波メソッド ゴースト暗算」を、2023年に新たな暗算メソッド「あゆみ算」をそれぞれ開発。著書は66万部を超えるベストセラーに。

日能研関東・安野美羽さん(以下、安野) 今回の特別授業は、新4年生と新5年生をメインに、九九ができるお子様に対象を広げて参加者を募りました。実は参加者の中には、新3年生以下の子どもたちもいたんですよ。

岩波邦明(以下、岩波) えぇ! それはすごいですね。今回、授業をやらせていただいて本当に驚いたんですよ。学校では教わらないまったく新しい暗算メソッドなのに、アッという間にやり方を覚えてしまうので。

安野 子どもたちの頭の柔らかさ、成長のはやさには驚くものがありますよね。それでは改めて、先生のプロフィールをご紹介したいと思います。岩波先生は、東京大学医学部在学時に会社を設立されて、まず独自の暗算メソッド「ゴースト暗算」を用いた暗算ドリルが大ヒットして一躍有名になられました。それから大ヒットゲーム「レイトン教授シリーズ」、通信教材の「コナンゼミ」で謎を作るお仕事をなさって、現在はスタンフォードの大学院コースでAIの勉強をされています。そのあたりの経緯をお話しいただけますか?

岩波 はい。スタンフォードの大学院コースで学び始めた一番の動機は、一昨年の12月に「ChatGPT」の存在を知ったことです。〝世界が大きく変わる〟〝コレに乗り遅れたら大変だ〟という強い衝撃を覚えまして。去年の2月から1からプログラミングと、苦手だった英語の勉強を始め、その2か月後からスタンフォードの生涯学習プログラムに参加しました。

安野 スタンフォード大学は、甲子園で活躍した佐々木麟太郎さんが入学したことで話題になりましたが、2024年世界大学ランキング2位の学校としても有名です。授業の様子はいかがでしょうか?

岩波 150名ほどのクラスなのですが、日本人は私だけですね。受講する学生は、GAFAの社員であったり、現役のデータサイエンスのリードエンジニアであったり、とても優秀な人たちばかりですね。そんな中、去年6月頃に提出したオリジナルのAIを作る課題で、クラスで1位を獲得しまして。

安野 昨年の6月というと、プログラミングを学び始めて4か月経った頃でしょうか。

岩波 そうなんです。で、その功績が認められたのか、いわゆる正式なスタンフォード生として大学院コースへ編入することができました。それからGPTのような大規模言語モデルの仕組みなどを勉強していますが、時間が経つにつれて〝10~20年後の世界で生き抜く上で、算数・数学・計算力は必須の能力だな〟という確信が芽生えたんです。

安野 それはどうしてですか?

岩波 スタンフォードのAIの授業は数学の授業じゃないか?と思うくらい数学漬けなんです。もちろん他の科目も大事ですけれども、私の実感として算数・数学の重要性は飛び抜けている。だからこそ、今の子供たちには算数を好きになってもらいたい、覚えてもらいたいという思いを、私はとても強く持っています。

スタンフォードで学んで見えてきた能力よりも忍耐力が重視される未来

安野 意外にも、先生は「プログラミングはまったく知らない」「英語も不得意だった」ということですが、それでもガッツを持って勉強を続けられる秘訣をアドバイスいただきたいのですが。

岩波 そうですね。たとえば、GoogleやNVIDIAといった世界的大企業のCEOが口を揃えて〝これから成功する上で一番大事なのは打たれ強さ、忍耐力です〟と話していますよね。各界のCEOを招いたスタンフォードの講義でも話題は同じです。生まれ持った能力や頭の回転の速さじゃないんですよ。とにかく忍耐力、忍耐強さが一番なんだと話しています。

岩波 子どもたちにとって忍耐力を鍛えるための最も身近な訓練は、問題を解くことではないでしょうか。たとえば、算数でちょっと難しい問題が出た。でも、解けないからと問題を解くことを諦めてしまう。これを繰り返していると、難しい問題に遭遇した時に諦め癖がついてしまいます。

岩波 私は難しいなと思っても、もうちょっと考えてみることにしています。もう少し考えよう、もう少し……と粘る。それで答えが出たら達成感が得られますし、どうしてもわからなければ解答を見ればいいんです。それでも、粘ったことで最初よりも答えに近づいたことを実感できますよね。それでいいんです。大切なのは、何かひとつのことに、いつもよりもちょっと長めに取り組むということで、それを子供のうちに習慣化しておくと、打たれ強さは自然に鍛えられるように感じます。

安野 先ほど〝忍耐力〟とおっしゃったとおり、今、巷ではGRIT(困難にめげずに粘り強くやり抜く)という言葉が注目されています。キーワードとしては「もうちょっと頑張ってみようという気持ち」、それから「小さな成功体験」でしょうか。努力が報われないと、次に行こうという気持ちを保てない。だから、少しずつ小さな成功体験を積ませた方がいい、と。実際にどのような方法がいいと思われますか?

岩波 解けるギリギリの難問を出して、解けたら自信になるし、ご褒美ももらえるというのが理想的ですが、そんな問題が都合よく見つかることは、まずありません(笑)。ですから、一番わかりやすいのは、ゲーム化することじゃないでしょうか。たとえば、問題集を解くときに、1ページ2分でやり切るというルールを設定します。時間は絶対的な指標になりますから、何度もその問題集を解くことで、最初は10分かかっていた時間が、5分になり、2分半になる。過去の自分を超えたという実感をモチベーションに繋げるわけです。

岩波 もうひとつアドバイスを挙げるとすれば、今日の授業でも感じたことですが、他人と比べないことです。コレは大事なことで、あくまで自分を軸に目標を設定すること。それが自己肯定感を高める近道ではないでしょうか。

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