人とロボットの共存社会を目指すロボットメーカーのテムザックは、ロボット技術を用いた省力化農業〝WORKROID農業〟の一環として新型『雷鳥1号』(播種対応モデル)を開発。
同社では米粉用の水稲直播栽培を宮崎県延岡市で実践しており、新型『雷鳥1号』による種籾の播種を実施する。
新型 雷鳥1号(播種対応モデル)
播種と雑草防除の両方を自動で行なうことができる農業ロボット
新型 雷鳥1号は、アタッチメントを付け替えることで、播種と雑草防除の両方を自動で行なうことができる農業ロボットだ。小型で群れ化させることにより、不整形地や小規模圃場など耕作放棄されてしまいがちな条件不利農地でも対応できるという。
同社では、ロボット技術を活用して省力化を追求する「WORKROID農業」プロジェクト2年目となる2024年は、「徹底した省力化の実現」をコンセプトとして、農業ワークロイドを順次開発・投入する予定。
「収穫した米は米粉にして流通させることで、新たな需要創出と食料安全保障にも貢献し、持続可能な農業の実現を目指してまいります」とコメントしている。
■新型『雷鳥1号』 (播種対応モデル)について
新型『雷鳥1号』は複数台の群れで動き、効率的に種まきを行なうことができる自動播種ロボット。高精度な位置推定により自律航行が可能だ。AIにより、種がまけていない場所をロボットが判断し、圃場全体に播種を行なう。
<自律航行>
AIで種がまけていない場所を判断することで、効率的に播種ができる。
◎新型『雷鳥1号』の作業の様子
<小型化&群れ化>
不整形地・小規模圃場など、条件不利農地にも対応する。
<太陽光発電エネルギー>
燃料費の節約に加え、化石燃料を燃やさず環境にも優しい。
■雷鳥1号(播種対応モデル)の主な仕様
サイズ/約全長700×全幅460×全高380mm
重量/約8kg
適用面積/1反につき5台で約30分
電源/駆動電圧DC12V×2
操作方法/自律航行
WORKROID農業について
米は日本の数少ない食料自給品目だが、農業従事者の最も多い割合を占めているのは75歳以上(2020年時点)だ。このような高齢化・担い手不足、そして耕作放棄地の拡大に歯止めがかからない状況の中、農業におめる省力化・省人化に向けた技術革新が必須となっている。
そんな中、テムザックは、長年培ってきたロボット技術を活かし農業課題を解決するため、宮崎県延岡市および北浦農業公社との連携協定(2022年12月締結)に基づき、2023年春、農業経験のない人でも取り組める省力化農業 “WORKROID農業” として、米粉用米の水稲直播栽培を開始。
初年度は、雑草防除ロボット『雷鳥1号』の開発・投入、ドローンによる播種作業の実施、水管理システムの運用などを実践、『雷鳥3号』による害獣追い払いの検証、『雷鳥2号』による収穫テストなど、農業ロボット「雷鳥シリーズ」を続々開発&投入。米作りに関するあらゆる工程の省力化に取り組んできた。
その結果、米作りにかけた労働時間は既存農業と比べ大幅に削減したにもかかわらず、無事稲穂が実り800kg弱(24aの圃場より)収穫することができたという。
収穫した米は米粉化し、「雷粉」の名称で食品業者・飲食店へ提供。米粉ケーキ、米粉カレー、米粉ピザ等として製品化され、6次産業化の実現も目指している。
<新型「雷鳥2号(耕起アタッチメント搭載)」2024年4月発表>
<害獣対策ロボット「雷鳥3号」2023年11月発表>
構成/清水眞希