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謎を解いて服を買う!?話題の謎解きアパレル「トキキル」って何?

2024.04.18

今や身近なエンタメとなっている謎解きイベント。リアル脱出ゲームや宝探し、物語仕立ての推理ゲームなどさまざまな趣向が凝らされ、知的好奇心旺盛な大人たちの人気を集めている。

中でも最近謎解きファンたちの注目を集めているのが、謎を解かないと服が買えないアパレルブランド「トキキル」だ。

「トキキル」は一風変わった体験型の服屋。街でよく見かける服屋と違い、もし気に入った洋服を見つけたとしてもすぐに購入することはできない。

店内の全ての服には謎がデザインされている。その謎を解くことで初めて服を購入する権利を得られるのだという。

今回は謎解きアパレル「トキキル」に潜入し実際に面白さを体験してみるとともに、ユニークな企画が誕生した経緯や理由にも迫る。

ここは普通の服屋ではない!?

トキキルのポップアップストアに潜入!ライターが謎に挑戦!

トキキルは現在、ポップアップ形式の出店でのみ販売を行なっている。一部商品を除き、オンラインでのアパレル販売はしていない。

そして、このポップアップイベントが「謎解きイベント」でもあるのだ。

4月に都内で開催されたイベントでは表参道の郊外にある、おしゃれなアトリエがイベント会場だった。

内装はいたってシンプルだ。ところ狭しと、至る所にズラリとTシャツやパーカーが壁に掛けられている。服屋さんというよりはアートの個展のようである。しかし、この壁にかかったアパレルの一つ一つが「出題」でもある。会場では自由に謎に挑むこともできるが、謎解きイベント初参加の筆者は、チュートリアルも兼ねて、スタッフさんと一緒に「謎」に挑戦させてもらった。

Tシャツに書かれているのは、「不完全なサイコロの展開図」である。

問題文どころか、回答のフォーマットすら提示されていない。初めてでは取っ掛かりを見つけるのに苦戦をしてしまうこの問題も、何が謎で、どう答えればいいのかも含め「出題」というわけだ。

トキキルの謎に挑戦するに当たり、大切なポイントは次の3つだ。

①問題文を「推測する」

②謎解きのセオリーを「知る」

③答えを「楽しむ」である。

どういうことか。

「不完全なサイコロの展開図」の謎を解き明かしたプロセスを紹介したい。

①問題文を「推測する」

謎を解くに当たり最も重要なのは、何が謎かを正しく把握することにある。

この問題では、よく見てみるとサイコロの展開図の下部に4つ黒い三角形「▼」があるのが分かる。つまり、展開図を左から1列ごとに何かを導き出すことによって、「4文字」の単語か数字が答えになるのではないか、という推測が成り立つ。

②謎解きのセオリーを「知る」

「まずは空いているところを埋めてみましょう」――スタッフさんの案内のもと数字を書き込んでいく。

残る2箇所には「1」か「6」いずれかの数字が入るはず。これ以上は絞りこめないため、ひとまず仮置きしておく。

当然ではあるが、立方体の展開図や点で表わされた4や5のデザインからこれが「サイコロ」を意味しているというのは、まず大前提にある。これも謎解きのセオリーのひとつである。

そして、先ほどで立てた「『4文字』の単語か数字が答え」という仮説にしたがって答えを導いていく。仮に数字が答えだとすると、「4、1/2/6、3、5」、2列目の1/2/6を合計し9と考えると「4935」。

これが答えだろうかと思い、回答するも残念ながら不正解だった。

そこで、数字を単語に置き換えることにした。「4」「9」「3」「5」。これをアルファベットに当てはめてみると「D」「I」「C」「E」――「DICE(サイコロ)」となり、これが「正解」だった。

1=A、2=B……と変換するのは暗号解読のセオリーである。こうした「謎解きのセオリー」の知識は必要不可欠である。

③答えを「楽しむ」

「不完全なサイコロの展開図」の答えが「DICE(サイコロ)」とは、出題と答えがきれいに繋がり二重にオシャレである。

少しメタ的な視点になるが、これは「謎解きイベント」である。参加者に解いてもらうことを目的とした謎であって、理不尽な問題ではない。

「基本的に答えは、意味のある言葉になる」とスタッフさんも口にしていた。「この服のデザインの答えが何か」に思いを巡らせながら謎に向き合うことが答えを導き出すヒントになるかもしれない。

専用アプリから回答を入力することで服の購入が可能となる

読者も一緒に謎に挑戦しよう!3匹の動物の謎

トキキルでは、全ての謎は「S」「M」「L」「XL」と服のサイズにちなんだ難易度設定がなされている。先ほどの謎の難易度は最も易しい「S」。コツが分かったところで、次は少し難しい「L」に挑戦してみることにした。

あなたも一緒に考えてみよう

動物のイラストが可愛らしいパーカー。ヒントとなるのはやはり三匹の動物。ゾウ、イヌ、そして真ん中はアリクイだろうか。

それぞれ「パーカーを着ている」というのも意味がありそうだ。しかし、謎解き初心者にはその先が皆目見当がつかない。

スタッフさんにヒントを求めると「服を着ていて、頭だけが外に出ているということですね」と教えてくれた。

なるほど。ということで、まずは動物たちの頭文字をとってみることにした。

「ゾ」ウ、「ア」リクイ、「イ」ヌ。「ゾアイ」、これでは答えになりそうにない。それならばと英語にしてみるても、「E」lephant、「A」nt eater、「D」ogで「EAD」。こちらも意味が通らない。

再び行き詰まったが、今度はメタ的に考えてみることにした。動物たちの「頭」だけが出ている。頭は「HEAD」。先ほどの「EAD」に「H」が付けば「HEAD」となり、答えとしても美しい。

縦に並んだ動物の、さらに上に「H」の動物が来ればいい。そこから「自分がこのパーカーを着たら、人間=Humanの頭がゾウの上に来るので、答えは『HEAD』」と、自分でもかなり無茶なロジックだとは思いながらも回答をスタッフさんに伝えてみると

「その通り、正解です!理由もばっちりです。だから動物たちも同じパーカーを着てるんですよ」

とまさかの正解。

自力で解くのも良いが、やはり謎は解けないと面白くないもの。例えヒントをもらっても、謎を最後まで解く感覚こそが、謎解きイベントの醍醐味だと参加してはじめて気づいた面白さだった。

偶然のひらめきが会心の一手に――「トキキル」代表者インタビュー

2022年の秋にスタートして、これまでに4000着近くのアパレルが販売されたという謎解き×アパレルが異色のコラボをしているトキキル。なぜこういった企画をするに至ったのだろうか。「トキキル」代表の長島くるみさんに話を伺った。

トキキル代表・長島くるみさん
大学在学中に謎解きと出会い、謎解きイベント制作歴は12年目。これまで数々のイベントを企画・運営してきた。

そもそも最初は「謎を絵として展示・販売する個展」を企画していたという。

「場所を探していたところ、見つけたのが個展というよりポップアップストアで使うようなスペースだったんです。そこを見て服屋をやりたいって思っちゃったんです(笑)。それで謎解き×アパレルのトキキルが始まりました」

謎に「着用できる」という価値を付け加えることで謎解きイベントが抱える金銭面の問題も解決した。

「実は謎解き制作ってすごくコスパが悪いんです。一つの謎解き公演のために何十問も作らなきゃいけないのに、一般的にお客さんが参加できるのはたった一回きりということが多い。しかし、『トキキル』はアパレル販売でもあるので、何度も参加しても楽しめますし、謎のラインナップをすべて新作にする必要もない。結果、コストが大幅に抑えられ、持続可能な謎解きにもなっているんです」

いわば偶然から生まれたアイデアであったが、企画を進めていくと服と謎解きには思いもよらぬシナジーもあったという。

「謎解きファンの間には、ちょっとした待ち時間でお互いに謎を出し合う習慣があるんですよ。問題を持ち寄ったり、SNSの投稿を見せ合ったり。そんな彼ら彼女らにとって、謎がデザインされた服は謎を見せるのに都合がいいんですよ」

参加者にただ謎を解いてもらうだけでなく「謎を解く体験」にもこだわっているという。

「私たちとしては、なるべく一人で解いてほしくないと思っています。スタッフとコミュニケーションを取りながら、ひらめきや成功の共有をしてほしい。謎『+α』の部分に価値を置くことで満足度が上がって、それがリピートにも繋がってきます」

洋服屋さんで店員さんがコーディネートのサポートをしてくれるように、トキキルではスタッフさんが謎解きのサポートをしてくれる。結果だけでなく「過程の体験も楽しんでもらいたい」という思いが共通しているのかもしれない。今後については「ファッションショーをやりたいと思っています」と語る。「トキキル」の展開にこれからも目が離せない。

***

最後に「トキキル」最高難度、XLの謎を紹介しよう。


さまざまな長さの白黒の線と意味ありげな幅。黒字に「あえて黒の文字」で書かれた「WHAT’S THIS?」の文字。円形の配置、白黒の線の本数……この数字にピンとくる読者は謎解き上級者だろう。

答えが気になる人はぜひ会場へ足を運んでみてほしい。

***

2024年5月より新潟会場を皮切りに、福岡、大阪、名古屋、札幌で「TOKIQIL SUMMER TOUR 2024」開催決定!

大阪:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02mb5mj39vp31.html

福岡:http://realdgame.jp/ajito/fukuoka_tenjin/event/tokikiru24.html

新潟:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02w23dhq5vp31.html

※名古屋、札幌会場のチケットはすでに売り切れとなっております。また各会場のチケットも売り切れになる場合がございます。ご了承ください。

取材・文/キタノ

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