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垣根を越えてルーツに戻るストリーミング時代における世界の音楽事情

2024.05.03

【NIKKIのKINIなる世界】 垣根を越えてルーツに戻る世界の音楽

 新連載初回、気合い入れて書いてやんぜ! と意気込んでも集中力が5分と続かない厄介な性分なワタシ。いろいろ試した結果、Spotifyで三味線プレイリストを流しながらPCに向かうと不思議と集中力が高まる(ような気がします)。

 ところで! とある調査によれば、日本人が1日のうちに音楽を聴く時間は平均で60分弱なんだとか。国際的な音楽業界団体IFPIの報告書では世界平均は約100分だそうなので、日常で音楽を楽しむ習慣は日本ではそこまで根づいていないともいえるのでしょうか。世界2位の音楽市場を誇る国としてはちょっと意外に感じますね。

 ここ数年で「YOASOBI」、「新しい学校のリーダーズ」や「おとぼけビ〜バ〜」のような日本発の個性派アーティストが海外でブレークしたりツアーがソールドアウトしたりと、話題が尽きないのは当人たちの実力は言わずもがなですが、音楽業界における言葉や文化の壁が前例のない勢いでなくなっているタイミングだからともいえると思います。

 音楽ストリーミングが主流となり、今や無名の個人でも安価で簡単に世界中のリスナーに届けるチャンスがある時代。グローバル化で音楽業界が変化するにつれ、これまで英語の楽曲でほとんど占めていた世界のヒットチャートに多様な言語や文化圏のアーティストが目立つようになってきました。

 例えば20年ほど前に英語以外の言語で世界的にヒットした曲といって思い浮かぶのは『恋のマカレナ』か『恋のマイアヒ』ぐらい。(洋楽の邦題に余計な枕詞つけがちだった昔の慣習、アレはいったいなんだったのか…)今、世界の配信プラットフォームで最も再生される1万曲の内訳を見ると、英語の楽曲は60%以上を占めていますが、割合はなだらかに減少中。代わりにスペイン語、ヒンディー語、韓国語などの楽曲の割合が徐々に増えています。再生は決して国内にとどまっておらず、アルゴリズムやシェアを通してボーダーレスに広がっているようです。外国語のコンテンツに抵抗が少なく、多様性やインクルージョンに肯定的なZ・ミレニアル世代の消費習慣の影響もここに表われています。

 多様な外国語の音楽が楽しまれるようになっていると同時に、これまでグローバルな成功を目指して英語などメジャーな言語で歌っていた歌手たちが母語で歌うことも顕著に増えています。世界でメジャーデビューするため、そして一発屋で終わらないためには英語で歌わなければならないなんて常識はもはや過去のもの。今は自分の言語と文化的ルーツを誇り高く表現するアーティストがリスペクトされ、ヒットする時代です。

 こんなふうに音楽のグローカリゼーションが進み、少し前までは「ワールドミュージック」というややニッチな枠内に収まっていたアーティストや作品に大々的にスポットが当たる今、多様でインクルーシブな音楽の魅力に触れる可能性がさらに増えるのは楽しみで仕方ありません!

文/キニマンス塚本ニキ

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ポップス界の言語も多様化していますキニマンス塚本ニキキニマンス塚本ニキ
東京都生まれ。9歳まで日本で過ごし、その後15年間ニュージーランドで生活。通訳、翻訳、エッセイ執筆のほか、ラジオパーソナリティーやコメンテーターとしてメディアで活躍する。

撮影/干川 修 ヘアメイク/高部友見 写真(BAD BUNNY)/Frazer Harrison/スタッフ

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