■連載/石野純也のガチレビュー
日本ではシャープのAQUOSとカメラを共同開発しているライカカメラ社だが、自身でデザインしたスマートフォンも販売している。それが、「Leitz Phone」だ。同シリーズは、ソフトバンクが独占的に取り扱っており、これまで2機種が発売されてきた。シャープのAQUOSをベースにしつつ、端末の外観やカメラアプリにライカ独自の機能を入れ込み、より撮影を楽しめるように仕上げているのが特徴だ。
そのLeitz Phoneシリーズに、新たなモデルとなる「Leitz Phone 3」が加わった。端末を見ればわかるように、この機種のベースになっているのは、シャープの「AQUOS R8 pro」。メインのカメラセンサーはセンサーサイズが1インチと大型で、本体背面上部の中央にそれが配置されている。色を正確に捉える14チャンネルのスペクトルセンサーを搭載している点も、AQUOS R8 proと同じだ。
ライカ独自デザインモデルの3世代目となるLeitz Phone 3。その撮影機能を中心にチェックした
一方で、側面にはスリットが設けられているなど、デザインはAQUOS R8 proと差別化が図られている。Leitz Phone独自のカメラアプリも健在で、「Leitz Looks」を使用するとあたかもライカのカメラで撮ったかのような色表現やボケ味を楽しめる。しかも、Leitz Looksには、新たに可変絞り機能を搭載。ソフトウエア的にシミュレートしたものだが、ボケ味の調整が可能になった。では、Leitz Phone 3でどのような写真が撮れるのか。実機を使って、その性能を試してみた。
ディテールをブラッシュアップすることで醸し出すライカらしさ
まず、そのデザインだが、カメラのユニットのデザインを大きく変えた「Leitz Phone 1」や、本体のフレームデザインに手を加えていた「Leitz Phone 2」とは異なり、ベースとしてのAQUOS R8 proの面影が強く残っているようにも見える。一方で、素材や仕上げなどのディテールをよりブラッシュアップすることで、ライカらしい高級感を出している印象だ。例えば、背面にはレザー調の素材が採用されており、高級なカメラのような触り心地を再現している。
背面にはレザー調の素材を採用。触り心地がよく、手になじむところがカメラらしい
側面に関しても同様に、細かくスリットを入れることで、“メカっぽさ”をより強く打ち出しているようだ。スリットが入っていることで持った際に、より滑りにくくなるといった実用上のメリットもある。ぱっと見でAQUOS R8 proと別物とまでは言えないのが正直なところだが、ライカらしいエッセンスがいい塩梅で加えられている。これは、AQUOS Rシリーズのデザインが世代を経るごとに洗練されてきた証拠と捉えることもできそうだ。
側面には細かくスリットが入っている。こちらも、AQUOS R8 proにはないディテールで、高級感が増している印象だ
レザー調の背面中央には、「Leitz」のロゴが配置されている。このロゴは、Leitz Phoneオリジナルでベースモデルには存在しない。Leitz Phoneのアイデンティティといっても過言ではないだろう。AQUOS R8 proは、この部分にFeliCaマークがあり、おサイフケータイ対応であることがわかったが、Leitz Phone 3にはそれが存在しない。ただし、ハードウエア的なスペックは同じで、こちらもきちんとおサイフケータイには対応している。こうした機能差がないのは、安心できる部分だ。
1インチセンサーのカメラをセンターに配置したデザインはAQUOS R8 proと同じだが、細かく見ていくと、スペックなどのあしらいが異なっている。AQUOS R8 proは内側のセンサーに近い部分に「LEITZ」のブランドや、レンズ名の「SUMMICRON」、さらにはそのF値などが掲載されていた一方で、Leitz Phone 3では、それがフラッシュや14チャンネルのスペクトルセンサーが搭載されている外周に移されている。
カメラ周りのデザインはベースモデルのAQUOS R8 proに近いが、処理やロゴの位置などが変わっている
また、センサーの外周部分は、シンプルな黒地にまとめられている。AQUOS R8 proは、ここにスリットが入り、金属感を強調するようなデザインになっていたが、Leitz Phone 3はフラットで光沢感がある。フレームやレザー調の背面素材とのバランスを取りつつ、カメラ周りのデザインもディテールが変わっているというわけだ。AQUOS R8 pro以上に、カメラらしいデザインを求める人にはお勧めできる端末と言えるだろう。