世界的に経済がインフレ傾向となっていて、日本でも値上げのニュースばかり聞こえてくる。マレーシアでも確かに物価が上がっていると感じることが増えてきた。数年前は1本17円(0.55セン)だった水のペットボトルも気がつけば30円(1リンギット)になり、600ml入っていた容量が100ml少なくなっていたりと地味に世知辛い。とはいえ欧米などと比べるとありえないほど安いのだが、物価の違いを考えるとかなりの値上げ幅ともいえる。
マレーシアの物価は日本の1/2〜1/3と言われていたのは少なくとも5年以上前の話。2024年現在、体感的には2/3といったところだ。
そこで今回はマレーシア生活9年目となる筆者が首都クアラルンプールで、1日1000円(31リンギット)で何がどのぐらいできるのかを検証してみた!
地元民の定番朝食は一食60円!新作映画も310円から
クアラルンプール版の築地場外!?TTDI市場
クアラルンプール版築地場外市場とでもいうTTDIマーケットの食堂でインドカレーの朝食。インド系はもちろん、他民族や外国人にとっても比較的定番の朝食となっている。
安い早い旨いが揃う市場の朝ごはん
ロティチャナイとドリンクで126円モーニング
マレーシア定番のロティチャナイ(マレーシア系インド風パン)は62円(2リンギット)。注文が入るとその場で焼いてくれる。付け合わせのチキンカレー、マレーシアの辛みそ、ひよこ豆カレーはセルフで取り放題だ。日本でいうと白飯だけ買って「海苔の佃煮、ふりかけ、漬物はご自由にどうぞ」みたいな感じだ。飲み物は紅茶で、約62円(2リンギット)。
朝から本場のカレーはキツそうと思うかもしれないが、ロティチャナイにつけるカレーはさらさらとしたスープに近い感じなので意外とあっさりしている。
マレーシアのシネコンはエアコン効きすぎで寒い
ショッピングモールのシネコンで映画を観ることにする。アプリ会員になり対応しているシネコンで期間限定の朝割を使ってハリウッド新作映画がなんと310円(10リンギット)だ。コロナ前の「映画の日」には2人で310円(10リンギット)ということもあった。余談だが日本の映画館でも4500円前後するプレミアムシートは、マレーシアでは2635円(85リンギット)から。ビジネスクラスのような革張りのゆったりとした座席で、肘掛けついているタッチパネルで食事や飲み物をオーダーできるラグジュアリーなシートだ。これもコロナ前だと1550円(50リンギット)だった。
かき氷にコーン!?公共施設に外国人料金!?
地元の人は食事に代わりにかき氷を食べたりも
チェンドルのトッピングになぜか合うスイートコーン
ランチは混雑するのでパスして地元民愛用のフードコートでチェンドル(マレーシア風かき氷)を食べる。155円(5リンギット)。かき氷に黒糖(椰子糖)とココナッツミルクをかけ、スイートコーンやいんげん豆、小豆、緑色の麺状ゼリーのようなチェンドルなどをトッピングしたもの。飲むかき氷のようなものなのでストローがついてくる。かき氷に黒糖とココナッツミルクの相性の良さたるや、南国感を倍増させ暑さを半減させる魔法のデザートだ。
マレーシアでは国民と外国人では料金が違う施設も多い
熱帯クアラルンプールの午後はひたすら暑い。直射日光を避けて屋内で過ごせる場所ということでマレーシアの歴史や文化が学べる国立博物館へ。
入場料は大人155円(5リンギット)。だが実はこれ外国人料金で、マレーシア国民は62円(2リンギット)だ。
マレーシアでは公営、民営を問わず「マレーシア国民料金」と「外国人料金」が設定されている施設や観光スポットが多い。マレーシア国民の場合は日本のマイナンバーカードのようなMyKadを提示することで国民料金が適用されることが多い。
鶏肉とヤギ肉の串焼き屋台、付け合わせは31円で別売り
ここはビールが欲しいところなのだが……
どうみても1人前以上のチャーハン
日も暮れてすっかり夜。晩ごはんは屋台街でシーフードチャーハンと串焼きを食べる。
2人前はあるボリュームで186円(6リンギット)。チキンサテ(マレーシア風串焼き)は1串37円(1.2リンギット)。冷えた水のペットボトルは40円(1.3リンギット)も買う。暑い空気を掻き回しているだけのシーリングファンの下でひたすら食べる、合計260円(8.5リンギット)でお腹いっぱいになる。
本日の合計1009円(32.5リンギット)でチャレンジ終了。
今のところマレーシアでは1000円で朝ごはん、映画、デザート、博物館、晩ごはんとゆるっと1日過ごせることが判明した。
マレーシアでは屋外食堂や屋台街が至るところにある
ちなみに日本で同じように過ごした場合いくらかかるかざっと調べてみた。
モーニングセット(日本の定番の朝食)300〜500円
映画1100〜2000円
かき氷350〜1000円
水のペットボトル100〜120円
東京国立博物館(平常展)1000円
焼き鳥1本80円〜250円
合計で3350円〜5490円。もちろん条件が異なるので単純比較はできないが、最安のパターンでもマレーシアの約3倍以上かかりそうだ。
やはりまだまだマレーシアは日本からすると物価が安い面もあると思われる。
ただしどこの国でも同じだが贅沢をすればキリがないし、地元民に徹底的に寄せればさらに安くあげることもできるだろう。
【番外編】1日チャレンジのはずが、たった1時間以内で終わる!?
輸入品とはいえビール350mlが1本500円のマレーシア
ところで「常夏の国ならばどこかのタイミングでビールだろ!」と思われる人もいるかもしれない。
マレーシアはアルコールを禁忌とするイスラム教(を国教とする)国だが、非ムスリムや外国人は飲んでも問題はない。実際にバーや日本の居酒屋、パブもある。だがアルコール類には重税がかけられているので物価の割に恐ろしく値段が高い。
マレーシアでもよく飲まれているシンガポールのタイガービール(500ml)1本487円(15.6リンギット)、日本から輸入されたスーパードライ(350ml)が1本564円(18.2リンギット)だ。
酒好きであれば1時間で1000円チャレンジは終了してしまうのではないだろうか。
※1リンギット=31円で換算
※為替レートにより価格に変動あり
※交通費は除く
文・写真/逗子マリナ(マレーシア在住ライター)
世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員(https://www.kaigaikakibito.com/)