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認知症グレーゾーンにいる人の暴言や怒りに対する正しい対処法

2024.08.04

「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。

ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!

認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。

グレーゾーンの人の暴言や怒りに対処するには

■「人が変わってしまった」には理由がある

「おだやかだった主人が、急に大声を出して怒ったり、外出先でイラ立ちをあらわにすることが増えました。どんどん人が変わっていくようで、いったいどう対応したらよいのか……」

グレーゾーンの男性の奥さんからそうした相談を受けることがよくあります。

認知症グレーゾーンになると怒りっぽくなることはお話ししてきたとおりですが、グレーゾーンの段階では、前述したように人格はまだ十分に保たれています。意味もなく暴言を吐いたり、暴力的なふるまいをしたりするケースはまれで、怒りの背景には本人なりの理由があります。 

たとえば、ちょっと失敗したときに、周りの人が「ああ、またやった」といった言葉を口にすると、そのたびに本人はストレスを感じます。

それでも、グレーゾーンの段階では、まだ理性が働いていますから、逆に、周りに迷惑をかけている自分を責める人も少なくありません。

とはいえ。

ことあるごとに繰り返し否定され、とくに責めるように注意されたりすると、それをきっかけに堪忍袋の緒が切れることがあります。声を荒らげて怒鳴ったり、言葉がなめらかに出てこないために暴力的なふるまいに出てしまうこともあります。

ご家族からすると、「急に怒りだした」「暴力をふるいだした」「人が変わってしまった」という印象を受けるでしょう。しかし本人の中では、ずっとためこんでいたマグマが抑えきれずに噴火した状態なのです。

もちろん、ご家族が悪いと言っているのではありません。

きっかけは周囲の人の言動にあったとしても、怒りの真の理由は自分のプライドだったり、誤解だったりする場合が多いものです。

本人の言い分が100%間違っていたとしても、認知症グレーゾーンの人は、感情のコントロールがうまくできなくなっていますから、いったん振り上げたこぶしを自ら下ろせないことがあります。したがって、本人が怒り始めたら、ご家族が譲歩するのが現実的です。

本人には申し訳ないと思いつつも、「自分のほうが優位な立場にいる」と思うだけで心にゆとりができます。2歳の子どもがイヤイヤ期を迎えて反抗的になっても、「子どもだから仕方ない」と思うのと同じように、「この人は病気なのだから、私が折れてあげよう」と考えると、気持ちがだいぶラクになります。

ただし、リスペクトや愛情を決して忘れないでください。

認知症グレーゾーンの人の怒りは、自分に自信がなくなっていることの表れです。

それを隠したいがために、あえて虚勢を張っている。

ならば、こちらが折れてあげよう。

そう思えたら大成功です。

■2回は相手のために、1回は自分のために

そうはいっても、いつもいつも作話にあいづちをうち、理由もなく怒りをぶつけられても受容する、といった生活をしていると、ご家族のほうが心身のバランスを崩して倒れかねません。

ですから私は、「3回に1回は、ご家族のほうも上手にガス抜きしましょう」と、お伝えしています。

理不尽だなと思う言動が3回あったとします。

でも2回は我慢する。

そして3回目は、自分の中にたまっている不満を軽くぶちまけます。

「それはおかしい」「怒鳴るのはダメ」など相手を否定するのではなく、「私はこう感じている」「こう思っている」という形をとるのがポイントです。

「私だって精いっぱいがんばっているのよ」「いつも文句ばかり言われていると苦しい」と、思いの丈を伝えましょう。根底で相手をリスペクトする気持ちを忘れなければ大丈夫です。

イライラして怒ってしまったあとは、大体自己嫌悪に陥るものです。

「ここで怒ったら、私はダブルにへこむ」と思い直し、2回は深呼吸をして我慢する。

でも、3回目は自分のためにガス抜きをする。そうした自分を守るための緩急をつけた対応が、認知症グレーゾーンの人に接するご家族にとっては大切です。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。

認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。

認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
Amazonで購入する
楽天ブックスで購入する

著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。

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