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中年期以降の視力低下により認知症リスクが倍増!見えにくさ以上に怖い老眼や白内障に潜むリスク

2024.07.12

「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。

ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!

認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。

認知症グレーゾーンを悪化させる7大因子とその改善法

趣味をもつこと、人との交流、運動、食生活、睡眠……。

認知機能の衰えを食い止め、認知症グレーゾーンからUターンするには、前章まででお話ししてきたような方法を試すことがカギになります。認知症は生活習慣病の一つですから、日々の生活を見直すことが最重要であることは間違いありません。

一方で、より直接的に認知症や認知症グレーゾーンの引き金になってしまうものがあります。

それは、加齢による「老化現象」です。

認知症の最大のリスクは「難聴」です。ほかにも、「視力低下」「歯周病」「高血圧」など、加齢とともに増えていく健康のトラブルと認知症は無関係ではありません。

これらの老化現象も含めた、私の考える、認知機能を低下させる「7大因子」は、次のとおりです。

(1) 難聴
(2) 老眼、白内障
(3) 歯周病
(4) 喫煙
(5) 生活習慣病
(6) うつ病
(7) 孤立(孤独)

この章では、認知症グレーゾーンの発症と進行を促すこれら「7大因子」を取り上げ、気づきポイントや改善策をお話ししていきます。

また、こうした加齢による症状は、本人が気づきにくいことが少なくありません。

ご家族の気づきポイントや、サポートするうえでの注意点などについても、実際にあったエピソードをあげながら具体的に紹介していきたいと思います。

認知症の7大因子(2)老眼、白内障

■中年期以降の視力低下は、認知症リスクが倍増する

私たちは、熱いものにふれたとき、すぐに手を離して火傷を回避しますよね。

食品のにおいをかぐだけで、腐っているかどうかを判別することもできます。

当たり前のようですが、これらは触覚や嗅覚が脳と密接に連携している証拠です。

このように、私たちは五感(聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚)を通じて絶えず脳に情報を送っています。それをもとに脳は指令を出し、体や心の動きをコントロールしています。しかし、加齢によって五感の働きが衰えてくると、脳に送られる情報も少なくなっていきます。つまり、年をとると脳の働きが衰える背景には、五感の感覚が鈍ってくることも大きく関係しているのです。

とくに、視覚の衰えの影響は甚大です。

視覚は、五感のなかでも最大の情報源であり、脳に届く情報のうち、8割は視覚から得られるからです。

若い人なら、近視で視力が低下しても、メガネをかけたり、コンタクトレンズを入れたりと対策を講じますよね。

それにより、近視による脳の衰えは回避できます。

一方、加齢とともに進む老眼に対しては、本人は無頓着になっているケースが少なくありません。中年期以降に視力の低下を放置していると、認知症のリスクが2倍になることが、奈良県立医科大学の研究報告で明らかにされています。

視覚を通じて脳へ送られる情報が大幅に減少し、脳の働きが低下することが影響していると考えられているのです。

■新聞やテレビに関心がなくなったら要注意

Yさん(105歳・女性)は、1年ほど前に足首を骨折してから寝たきりになりました。それでも、100歳を超えているとは思えないほど認知機能や五感はしっかりしていて、メガネなしで新聞を読み、テレビで大好きな相撲や野球を観ることが毎日の楽しみでした。

ところが、105歳の誕生日を迎える少し前から、新聞を手にとることがなくなり、テレビを観ることも少なくなりました。やがて、ボーッとしている時間が増え、106歳を迎える直前に亡くなってしまったのです。

ご家族によると、新聞やテレビを観なくなってから、認知機能が急速に衰えた印象があるとのことでした。

急激にYさんの認知機能が低下してしまった背景には、視力の問題がある可能性が考えられます。

新聞を読んだり、テレビを観たりといった視覚に関することに関心が薄れたときは、一度視力の検査をしてみることをおすすめします。

それが、グレーゾーンからUターンする第一歩になるかもしれません。

■視力の低下は幻視や錯覚の誘因にもなる

高齢で視力が0.1以下だと、幻視や錯覚などを起こすケースも眼科の学術雑誌などで報告されています。これは視覚からの情報が乏しいことで、脳が待ちきれずに誤作動を起こすことが一つの要因ではないかと推測されています。

高齢者の方のなかには、何年も同じメガネを使っている人が少なくありません。自分ではとくに問題を感じていなくても、眼科で調べてみると度数がまったく合っていなかったという場合もよくあります。メガネのレンズが傷だらけで、視界が悪くなっていることも少なくありません。

さらに、高齢になると白内障を発症する人も増えます。

白内障は、目の中でレンズの役割をしている水晶体が白くにごり、視界がかすんで見えづらくなる病気です。少しずつ進行するため、気づかずにいる人も多いのですが、白内障による視力の低下も認知症のリスクにつながります。

50歳を過ぎたら、体の健康診断だけでなく、視力の検診もまめに行うようにしましょう。ご家族が配慮することも、とても重要です。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。

認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。

認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
Amazonで購入する
楽天ブックスで購入する

著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。

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