「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
今回は、男女で差がでる「脳にいい生活」について解説をしていきます。
男女で異なる「脳にいい生活」の秘訣
生活習慣の改善の取り組み方には、男性と女性とでは明らかに違いのあることを、私は長年の経験で感じています。
どちらがよくて、どちらが悪いという話ではなく、男性には男性の、女性には女性に適した動機づけがあるということです。
■女性の脳にいい生活
まず女性は、自分自身の体感を重視し、「とにかくやってみよう」と考える人が多い印象があります。
ですから、女性の場合は、自分で興味をもったものをまず体験してみて、「楽しい」と感じたものを実践することが長く続ける秘訣といえます。
加えて、一緒に実践する仲間がいると、より習慣化するうえで効果的なところも、女性の特徴といえます。
■男性の脳にいい生活
一方で男性の場合は、頭(理屈)で納得しないとなかなか行動に移しません。
たとえば、筋トレをすすめるとき、「近所のジムへ通って、自分の好きなトレーニング法で楽しんでください」と伝えても、たいていの男性は実践しないか、途中でやめてしまいます。
男性に習慣化してもらうには、「なぜ筋肉を鍛えることが、認知症の予防に役立つのか」「具体的にどのような筋トレが、より脳の刺激になるのか」「筋トレを行っているとき、脳にどのようなよい影響があるのか」などを細かく伝える必要があり、理にかなっていると本人が納得すれば、猛烈にがんばるケースが多く見られます。
男性は一般的に、「どのようなしくみで効果があるのか」という理論の明確なものに対して興味をもつ特性があります。生活習慣に対しても同様で、理論立てのあるものには興味をもち、長く取り組む傾向があります。
「これよさそう」と感じればフットワーク軽く取り組む女性に対して、なかなか腰を上げない男性。男性に本腰を入れて取り組んでほしいことは、できるだけ「なぜそうなのか」という説明を入れることが重要なのです。
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脳にいい生活について、いかがだったでしょうか?
書籍の主題の認知症についてですが、「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。