「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
「フラダンス」でインナーマッスルをフル稼働
■優雅に見えて、体幹をしっかり鍛える
「時間を測りながら歩くなんてめんどう」「もっとラクで楽しい筋トレ法はないの?」
「めんどうくさい脳」になっている方からは、そんな声が聞こえてきそうですね。
インターバル速歩は、決してめんどうなトレーニングではありません。
とはいえ、まずは運動に興味をもっていただくことが大事なので、エモーショナルなときめきがプラスされた楽しい筋トレとして、フラダンスを紹介しましょう。
フラダンスは、「ハンドモーション」と呼ばれるしなやかで美しい手の動きが特徴的な、ハワイの伝統的な踊りです。
ゆっくりとした優雅な動きは、一見、筋トレとはかけ離れた印象がありますが、下半身の負荷は結構なものです。
はだしの足裏と足指で地面をしっかりとらえながら、重心を低くした姿勢でひざを曲げて立ち、絶えず腰を左右に振ってステップを踏む。
こうした姿勢で踊っていると、足の指先から太もも、お尻、腰、背中に至るまで、インナーマッスルがフル稼働を余儀なくされます。筋肉のなかでいちばん大きな太ももの筋肉が鍛えられることで、基礎代謝が上がり、太りにくい体になっていきます。
優雅な手の動きも見た目よりハードで、腕の筋トレになるほか、その繊細な動きを覚えるために脳も大いに刺激されます。また、長く続けるうちに体幹が鍛えられて体のバランスが安定し、転倒しにくい体づくりにもつながります。
さらに、福岡大学スポーツ科学部の森口哲史教授が40~50代の女性を対象に行った調査では、フラダンスのレッスンを2時間受けた人は、「活気」が高まった一方で、「緊張」「抑うつ」「疲労」などのマイナスの感情は低下していたと報告されています。
フラダンスは、心理面にもよい影響を及ぼすということです。
フラダンスは、もともと文字をもたなかったハワイの人たちが、自分の気持ちを伝えるために踊ったものといわれています。華やかな衣装を身にまとって踊れば、よりエモーショナルなときめきが高まり、脳の活性化につながります。日本では、フラダンスというと女性のイメージが強いですが、男性の筋トレ、脳トレとしても最適です。
実際に、最近はフラダンス教室へ通う男性も少しずつ増えているようです。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。