「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
ほめられるより、ほめたほうが、脳は活性化する
■「より脳を活性化させるほめ方」とは?
人からほめられると、誰でもうれしくなりますよね。
ほめられることで「やる気」や「幸福感」を生み出す脳内ホルモンのドーパミンが分泌されやすくなると考えられています。
さらに注目すべきは、自分がほめられるより、人をほめたほうが、脳が活性化するということです。人をほめると、脳内に前出のオキシトシンが分泌され、人に対する親近感・信頼感が増すとともに、自分自身の幸福感も得られることを、脳生理学者の有田秀穂先生が著書の中で述べられています。
自分のことより、他者のために力を尽くすことを「利他」と呼び、人をほめることも利他に相当します。
では、ここで質問です。
ただほめるよりも、「より脳を活性化させるほめ方」とは?
答えは、相手の内面をほめること。
一般的に、人をほめるときは、容姿やファッションセンスなど、外見的なことが多いでしょう。ですが、相手の努力や信条、真心などを評価するようにするのです。
そのためには、単なる〝おべんちゃら〟ではなく、しっかりと人間観察をして、適切にほめる力を身につけなければなりません。常に脳をフル稼働させておく必要があり、これが脳の活性化につながります。
適切に正しくほめることができれば、相手も気持ちがいいですし、自分の脳トレにもなる。まさに「情けは人のためならず」で、人をほめることは、めぐりめぐって自分の利益にもつながるということです。
これを「互恵」といいます。
ただ相手をほめろと言われても、何の見返りもなく、他者に力を尽くし続けることは、それこそ仏様でもないかぎり、無理です。持続的に「利他」を行うには「互恵」が不可欠で、そのほうが相手にとっても助かります。
お互いにほめ合うことこそ、認知症対策の理想。
「善は急げ」ともいいます。さっそく、この本を閉じたら、誰かをほめてみてはいかがでしょう。ご主人、奥様、親御さん、子ども、孫、友人、同僚……。
どこをどうやってほめようか。そう考えるだけで、きっとわくわくしてきます。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。