「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
認知症グレーゾーンの人には「瞑想」よりも「ぬり絵」がいい理由
■瞑想は案外難しい
心を静めるといえば、瞑想がありますよね。
瞑想には、認知機能の低下を食い止める働きがあるといわれています。
実際、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者が、24歳から77歳までの100人を対象にして行った調査では、長年瞑想を行っているグループは、運動神経や反射神経、記憶、思考力などに関わる灰白質の減少が抑えられたそうです。
ただ、これは私の個人的な意見ですが、瞑想は案外難しい。
心を無にしようとしても、慣れない人はじっと座っていられません。すぐに雑念がわいてきてしまいます。
その点、ぬり絵をぬっていると、簡単に無心になることができます。
指先を細かく動かす動作には、脳の前頭葉にある運動野と呼ばれる部分の働きを高め、脳全体の血流を活発にしてくれる働きがあります。
前頭葉は理性や思考をつかさどる部分ともいわれているため、ぬり絵をすることで心がおだやかになり、自律神経のバランスがよい状態になります。
さらに、全体を観察して覚えたり、色をぬる順序を決めたりすることでも脳は活性化されます。
ちゃんとできるようになるためにそれなりの訓練が必要な瞑想よりも、私はぬり絵をおすすめします。
今は書店に行けば、大人向けのぬり絵がたくさんあります。
子ども向けの簡単なものよりは、こうした細かく繊細な絵を仕上げるほうが、脳の活性化にはつながりやすいでしょう。インターネットには、無料でぬり絵をダウンロードできるサイトもありますので、いろいろなぬり絵を試してみてください。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。