3. 金融商品取引法のポイント(3)|不公正取引に関する規制
上場株式などの価格は、発行会社について、一般投資家の多くが予期していない事態が発生すると大幅に変動します。
たとえば、市場コンセンサスと決算の内容が大幅にずれた場合や、TOB(株式公開買付け)が発表された場合などには、株価が大幅に変動することが多いです。
上場会社に関する未公開の重要な情報は、その会社の関係者であれば、公開前の段階で知ることができる場合があります。
その情報に基づいて事前に株式を売買しておけば、かなりの確度で大きな利益を得られますが、それはいわば「抜け駆け」であって不公正な取引というべきです。
金融商品取引法では、未公開の重要な情報を知りながら行う上場有価証券の売買等を「インサイダー取引」として禁止しています。インサイダー取引をした者は、刑事罰の対象となります。
インサイダー取引のほかにも、金融商品取引法では、市場の公正を害するおそれがある行為を禁止しています。たとえば、相場変動を図る目的による風説の流布や、相場操縦行為などが禁止行為の典型例です。
4. まとめ
金融商品取引法は非常に細かく複雑な法律で、すべてを理解するのは難しいですが、全体的に一般投資家の保護を図る内容となっています。
本記事ではごく簡単に概要のみ紹介しましたが、本格的に投資へ取り組もうと考えている方は、投資に関するビジネスを規制している金融商品取引法を知っておいて損はありません。
ご自身の関心に応じて、どのような規制が設けられているかを調べてみてください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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