株式や投資信託などの投資商品は、購入すれば利益が出る場合もありますが、大きな損を出してしまうこともあります。したがって、投資に取り組む際にはリスクをよく理解しなければなりません。
しかし、投資商品は無数に存在する上に、その仕組みが複雑なものも多いため、一般の投資家にとってリスクを正しく理解することは難しい面があります。
事業者がそこに付け込んで利益を貪るとすれば、それは不公正なビジネスというべきでしょう。
こうした事業者による一般投資家の搾取を防ぎ、投資商品に関する取引を公正化するために制定されたのが「金融商品取引法」です。
本記事では、金融商品取引法とはどのような法律であるのかについて、その概要を簡単に解説します。
1. 金融商品取引法のポイント(1)|上場会社の開示規制
上場株式などの上場有価証券は、市場において不特定多数の人が取引を行います。多くの一般投資家が取引に関与するため、投資商品としてのリスクが分かる状態にしておかなければなりません。
そこで金融商品取引法では、主に上場会社に対して企業情報の開示を義務付けています。
上場会社は、有価証券届出書や有価証券報告書などの開示書類を、EDINETを通じて公衆縦覧に供します。
「公衆縦覧」とは、誰でも閲覧できる状態を意味します。EDINETにアクセスすれば、最大過去10年間に遡って上場会社の開示書類を閲覧可能です。
上場会社が開示している企業情報を閲覧すれば、その会社が発行する上場有価証券を購入することのリスクについて、多くの判断材料を得ることができます。
自ら開示書類を読み解くことが難しくても、アナリストがまとめたレポートなどの二次情報も利用できるため、一般投資家において適切な投資判断がしやすくなります。
2. 金融商品取引法のポイント(2)|金融商品取引業者に対する規制
一般投資家を保護する観点からは、粗悪な投資商品を高値で販売するなど、事業者が一般投資家を搾取する事態を防ぐ必要があります。
そこで金融商品取引法では、有価証券を取り扱う事業を「第一種金融商品取引業」「第二種金融商品取引業」「投資助言・代理業」「投資運用業」の4つに分類し、それぞれを登録制としています。
各種金融商品取引業を営むためには、対応する登録を受けなければなりません。無登録で金融商品取引業を行うことは、刑事罰の対象とされています。
また、金融商品取引業者には、業務の内容に応じた行為規制が適用されます。
一例として、契約に関する書面の交付義務・禁止行為・適合性原則など、顧客の資産を預かる事業者については分別管理義務などが定められています。