クロス・マーケティングは、家庭に人体認識技術を搭載した機器を設置してテレビスクリーンへの「注視」を測るREVISIOと、コネクテッドTVの視聴傾向に関する共同研究を実施。結果をまとめた資料「コネクテッドTV白書2024」を発表した。
昨年、両社は「コネクテッドTV白書2023」を発表しているが、その反響が多大であったため、2024年度版も発表するに至ったという。
共同研究の背景と目的
昨今、インターネットに接続したテレビいわゆる「コネクテッドTV」(以下、CTV)の普及に伴い、これに対応した広告市場も拡大。広告主のCTVへの注目度が高まる一方で、CTVを評価して分析するための意識データや、視聴データはまだ数が少ない状況でもある。
そこで本研究では、意識データと注視データを掛け合わせることで、CTVユーザーの実態を深く分析。動画サービス毎の視聴データや、共視聴(2人以上で視聴すること)の傾向などを様々な切り口でまとめており、今後のCTVの展望を考えるにあたってのヒントになるものと考えられる。
本研究ではクロス・マーケティングが実施したスクリーニング調査3万5000名、本調査2000名のアンケートデータと、REVISIOが保有する関東エリア 2000世帯から得られるCTV視聴データを利用している。
同社では「また、本研究も二年目に入ったことで昨年との比較も白書内に含めることができました。経年データを追うことで、新しい観点を引き続き提供していければと考えております」とコメントしている。
研究結果の概要
■CTVの視聴時間は順調に伸び、「YouTube」が「日テレ」に続いて2位に
※CTV利用世帯における、テレビデバイスでの地上波テレビ+動画サービスの平均利用時間/日
※REVISIO計測によるデータを元に集計
CTV視聴世帯における各動画サービスの平均視聴時間は、「YouTube」が53.4分/日だった。「YouTube」は、昨年からさらに視聴時間が順調に伸び、地上波も合わせたランキングで2位となっている。
■利用デバイスは既にテレビ>スマホとなっている動画サービスも
※クロス・マーケティングによるアンケートデータを元に集計
Disney+、Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoなど一部動画サービスでは、CTVでの視聴がスマートフォンの視聴を上回る結果となった。
これらの動画サービスは大作コンテンツが多く、テレビデバイスでの視聴を選ぶ傾向があると考えられる。
一方、YouTubeはスマートフォンでの視聴がCTVの結果を大きく上回る結果となった。YouTubeは視聴されるコンテンツや視聴の仕方が多様になるため、視聴する場所が限定されるCTVでの視聴よりもスマートフォンの視聴の方が高くなると推察される。
■共視聴は地上波番組を視聴可能な動画サービス「U-NEXT」や「TVer」で高い
※CTV利用世帯における、テレビデバイスでの地上波テレビ+動画サービスの共視聴
※REVISIO計測によるデータを元に集計
視聴実測データを動画サービスごとに見ると、「U-NEXT」、「TVer」、「地上波」の順で共視聴割合(時間ベース)が高い結果が得られた。
「TVer」と「U-NEXT」には地上波コンテンツが多いという共通点がある。特に「U-NEXT」は昨年、「Paravi(パラビ)」と合併して、人気コンテンツである『VIVANT』をはじめとする多くの地上波コンテンツが視聴可能となった。地上波コンテンツは共視聴されやすいと言えるだろう。
関連情報
http://www.cross-m.co.jp/
構成/清水眞希