「何となく元気が出ない」「仕事がしんどい」、こんな悩みを抱えていませんか?休み明けは特に感じるモヤモヤかもしれません。
実は、元気がない状態は〝科学の力〟で解消できるのだとか!
誰でもすぐ実践できるのに、まだ多くの人が試していないメソッドとは?明治大学教授の堀田秀吾さんによる著書『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』から一部を抜粋・編集し、科学的根拠に裏付けされた「元気になる方法」を紹介します。
〈「漠然とした不安」が消えないときは〉
心のざわつきやモヤモヤは、「不安の原因」を特定し、「やるべきこと」を明確にすることでおさまる
——— プリンストン大学カーネマンらの研究
人間の行動原理のもっとも大きなものの一つが「不安」です。
それは古代の昔から現在まで変わりません。
たとえば、買い物をするときにランキングや口コミを見たり、有名なメーカーの製品を選んだりする人も多いと思います。
また、大勢の飲み会が苦手で、いつも同じメンバーで集まってしまう、というのも同様です。
不安なので、なるべく冒険しないで安全な道を選ぼうとするわけです。
この不安は、もともとは危険を予知・察知して行動するための本能だと考えられています。不安があるからこそ人間は種を守ってこられたのです。
そんな事情もあって、脳には放っておいても勝手に不安になってしまう習性があります。
不安なのは脳のせいなのだ、そう考えると少しは気もラクになるでしょう。
とはいえ、その不安を放置してしまうのも良くありません。長く付き合っていく相手として、もう少し「不安」について知っておくべきだと思います。
まず重要なのは、その不安が「何が原因で起きているのか」を分析して、明らかにすることです。
多くの人は、何か漠然とした不安を感じてはいるけれど、いったい何がそうさせるのか把握できていません。
かの文豪芥川龍之介も、遺書にこのような言葉を残しています。
「誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない……僕は君に送る最後の手紙の中に、はっきりこの心理を伝えたいと思っている。(中略)僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である」
芥川は「ぼんやりした不安」と表現していますが、「原因がわかっていない漠然とした不安」は、当事者では発見しにくい、いわゆるステルス型のストレスです。このストレスは、どんどんと元気を奪っていってしまいます。
たとえば、「将来に不安がある」と言っても、仕事の話なのか、お金の話なのか、パートナーがいない不安なのか、自分の状態はそれほど悪くないけれど政治的なところが気になるのか、複数の合わせ技なのか——と、不安の種にもいろいろな形があります。
それをはっきりさせることが、不安との上手な付き合い方の第一歩になります。
たとえば、今の仕事の稼ぎに不安があって、条件の良い仕事に転職することは簡単ではないとしましょう。
この場合、すぐに解決できることではありませんが、お金が原因だとはっきり自覚できれば、やることは明確です。
給料を上げるための努力や、より条件の良い転職先を探すこと、良い転職先にめぐりあえるように実績をつくること、空いた時間でアルバイトを始めることなど、選択肢が浮かんできます。
やるべきことを明確にしないと、不安はどんどん大きくなっていくのです。
またお金の問題にしても、ある一定の所得水準(年収7万5千米ドル = 約1000万円)を超えると、お金と幸福度は比例しなくなるという、プリンストン大学のカーネマンとディートンによる45万人以上を対象に行った調査もあります。
お金で得られる「何か」が不安の原因で、単にお金を稼げば良いというものではない可能性だってあるかもしれません。
実は不安の根っこがお金ではなく、お金で得られる居住の問題だという人なら、急に稼ぎを増やすことはできなくても、友人とハウスシェアリングを始めればその不安を減らすことができるかもしれないのです。
ただただ不安に怯えるのではなく、人間は放っておいても不安になってしまうものだと理解して、その上で自分の不安にしっかりと向き合ってみましょう。
そして、不安の原因がわかったのであれば、「自分でできること」「自分でできないこと」「時間のかかること」「すぐにできること」と区分けをして考えてみるのはどうでしょうか。
すると、不安の解決方法が見えてくるかもしれません。
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いかがだったでしょうか?
『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』で紹介されているのは、世界の科学論文などで紹介されたエビデンスがあるメソッド。科学で証明されたノウハウは、きっとあなたの生活に役立つはずです。
テンションが下がった時に試したい、とっておきの方法が詰まった一冊をぜひ書店でチェックしてみてください。
誰でもできるのにほとんどの人がやっていない
科学の力で元気になる38のコツ
発行所/株式会社アスコム
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著者/堀田秀吾(アスコム)
明治大学法学部教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな学問分野を融合した研究を展開。専門は司法におけるコミュニケーション分析。研究者でありながら、学びとエンターテイメントの融合をライフワークにしており、「明治一受けたい授業」にも選出される。また、芸能事務所スカイアイ・プロデュースで顧問を務めるなど、学問と実業の世界をつなぐための活動も続けている。プライベートでは空手、サーフィン、マラソン、近年はヒップホップやロックダンスにも挑戦中と、エネルギッシュな日々を送っている。座右の銘は、「あとでやろうはバカやろう」。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。