「何となく元気が出ない」「仕事がしんどい」、こんな悩みを抱えていませんか?休み明けは特に感じるモヤモヤかもしれません。
実は、元気がない状態は〝科学の力〟で解消できるのだとか!
誰でもすぐ実践できるのに、まだ多くの人が試していないメソッドとは?明治大学教授の堀田秀吾さんによる著書『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』から一部を抜粋・編集し、科学的根拠に裏付けされた「元気になる方法」を紹介します。
〈働くモチベーションを保つには〉
社会的な「意義」よりも個人の「好き」のほうが動機づけとしては強力
——— イェール大学レゼスニエウスキーらの研究
みなさんがもし、「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組に出演したとして、「仕事とは?」「何のために仕事をしていますか?」と聞かれたら、何と答えるでしょうか?
イェール大学のレゼスニエウスキーらによる研究チームが、アメリカの陸軍士官学校の生徒を延べ1万人以上、10年にわたって調査して、志望動機とその後のキャリアを記録していったところ、自分の「やりたいこと」に対して、教養のため、人類のため、出世のため、などと「理由づけ」をする人ほど、長期的には結果が悪くなる傾向が出たそうです。
やはり士官学校ですから、好き好んで戦いたいわけではないけれど、それ以上に「家族やアメリカを守りたい」「出世したい」といった思いを持って入る若者が多いと思うのですが、それだけでは情熱が続かないのかもしれません。
では、どうすればいいのかというと、自分の「やりたいこと」と「好きなこと」が一致していると良いというのです。
これは、当然ですね。
「好きなこと」が仕事につながれば、これ以上幸せなことはありません。でも、「それができないから苦労しているんだ!」とお思いの方もたくさんおられるでしょう。
問題は、どうすれば「好き」と「やりたい」が一致するかですね。
モチベーションを専門用語で「動機づけ」と言います。
この動機づけの種類にもいろいろあって、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」というものがあります。ざっくりと切り分けてしまえば、「国のため」などといった理由づけをすることが外発的動機づけ、「好きだからやる」のが内発的動機づけとなります。
たとえば、公園でアリの巣を眺めているのが何よりも好きな受験生がいるとしましょう。アリを眺めているだけで幸せなのだけれど、受験生としては勉強をやらなくてはいけない……こんなときに、どう考えるかです。
「僕はアリを見つめていたいから勉強をしない」道を選ぶのか、「今は勉強を一生懸命して、大学に入ったあと自由な時間でアリを見つめていよう!」という発想をできるかどうかです。何より、大学に入れば「アリ学者」として研究の道に進む選択肢もできます。
もちろん、仕事に置き換えても同じことで、開発途上国に貢献できる仕事がしたいと考えたとき、社会起業家やNGO団体の職員として働くストレートな道もありますが、自分の今いる環境や得意なことを活かして、途上国のためになるサービスや商品を開発したり、さまざまな分野の人と組んで、アイデアを共有したり、という手もあります。
重要なことは、できるだけ多面的に物事を見て取り組んでいくことです。
ニューヨーク大学のカップスとエッティンゲンという心理学者たちのこんな研究があります。
報告によると、50人の学生にエッセイを書かせたとき、「賞を受賞すること」を想像させて書かせた被験者は、そうしなかった被験者よりも執筆意欲が落ち、エネルギーを注ぎ込むことができなかったそうです。
また別の実験では、課題を「やり終えたところ」を想像させてから取り組ませたところ、そうしなかった被験者たちに比べて意欲が低下し、さらに結果の達成度も低かったということでした。
つまり、やみくもに大きな目標を掲げても、意味がないどころか、逆効果になってしまうことがあるのです。
では、どうすれば良いかというと、ニューヨーク大学のエッティンゲンとゴルウィッツアーは、「メンタル・コントラスティング」という方法を提案・推奨しています。
これは、人間は「目標達成のための障害を克服できる」とわかれば元気が出るし、克服できないと元気がなくなるので、実現したい未来と現在の障害を比べて、どんな障害があるかを知り、実現可能性が高いものを選んで実現していくことで、限りがある「資源」である元気、時間、そして注意力をムダなく配分でき、目標の達成率が高くなるという考え方です。
つまり、「いつか好きなことをしたい」というモチベーションとともに、今、目の前のできることをコツコツこなしていくことが大事だということです。
この2つがあって、モチベーションと元気を維持していくことができます。その結果、より大きな目標を達成できるようになるのです。
偉人と呼ばれる人たちも、最初から大成功をおさめたという人は少なく、どちらかと言えば苦労人が多いですよね。
彼らが最終的に大きな結果を残すことができたのは、ぶつかる困難を、どうクリアするか、そのことを念頭に置きながら人生を楽しもうとしていたからではないでしょうか。
そもそも、人生は長いのです。元気に過ごしていさえすれば、チャンスはいくらでもやってきます。
今の環境が合わなくても、「一生懸命やってもダメなら仕方ない!」と割り切ってみたほうがずっと働きやすくなるかもしれません。
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いかがだったでしょうか?
『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』で紹介されているのは、世界の科学論文などで紹介されたエビデンスがあるメソッド。科学で証明されたノウハウは、きっとあなたの生活に役立つはずです。
テンションが下がった時に試したい、とっておきの方法が詰まった一冊をぜひ書店でチェックしてみてください。
誰でもできるのにほとんどの人がやっていない
科学の力で元気になる38のコツ
発行所/株式会社アスコム
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著者/堀田秀吾(アスコム)
明治大学法学部教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな学問分野を融合した研究を展開。専門は司法におけるコミュニケーション分析。研究者でありながら、学びとエンターテイメントの融合をライフワークにしており、「明治一受けたい授業」にも選出される。また、芸能事務所スカイアイ・プロデュースで顧問を務めるなど、学問と実業の世界をつなぐための活動も続けている。プライベートでは空手、サーフィン、マラソン、近年はヒップホップやロックダンスにも挑戦中と、エネルギッシュな日々を送っている。座右の銘は、「あとでやろうはバカやろう」。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。