「何となく元気が出ない」「仕事がしんどい」、こんな悩みを抱えていませんか?休み明けは特に感じるモヤモヤかもしれません。
実は、元気がない状態は〝科学の力〟で解消できるのだとか!
誰でもすぐ実践できるのに、まだ多くの人が試していないメソッドとは?明治大学教授の堀田秀吾さんによる著書『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』から一部を抜粋・編集し、科学的根拠に裏付けされた「元気になる方法」を紹介します。
〈疲れが出てきたときは〉
仲間同士の「愛ある注意」で途切れた集中力がよみがえる
——— イェール大学ジューらの研究
忙しくて、ろくに休憩も取れないまま働き続けていると、どうしたって注意力は低下してしまうものです。
忙しいときほどパフォーマンスを上げたいところなのに、失敗やミスが出てきて、余計にイライラ。そんな経験はないでしょうか。
こうした悪循環を防ぐにはどうすればいいでしょうか?
長期的、かつ理想的な解決策は、自分の能力を向上させること。つまり、一つの仕事にかかっていた時間を、8割くらいに短縮し、短縮できた時間に休憩を入れたり、個人的なインプットができるようにすること——でしょう。
ただ、「今すぐ!」、可及的すみやかにパフォーマンスを上げたいという場合もあります。
そんなとき、すぐに効果を発揮するメソッドが、「同僚たちとチームを組む」ことです。
これは、自分の仕事を他の人にもやってもらう、という意味ではありません。仕事は、任せられたものを各々でやります。
では、何がチームなのかと言えば、時折、仲間のコンディションをチェックし合い、疲れていそうな人がいたらそれを指摘する、というルールを決めてチームを組むのです。
イェール大学のジューらは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使い、被験者の脳の活動状態の撮影を行いました。
この実験では、参加者に「顔」や「風景」などを重ねた複数の要素からなる画像を見せ、注意が散漫になる瞬間を調査しました。
そして、明らかに「注意が散漫になっている」という状況のとき、被験者たちに「注意力が落ちていますよ」と教えたのです。すると、彼らに再び集中力が戻り、脳が良いコンディションに戻る、という結果になりました。
つまり、単に「注意力が落ちてますよ」と根拠を持って説明するだけで、脳は「そうだったのか!」と刺激を受けてシャキッとしてくれるのです。
ですから、隣のデスクから聞こえるキーパンチの音数が減っていたら、そのことを指摘するようなチームを個人的に組むだけで仕事の効率がアップするというわけです。
ただ、指摘するときに気をつけていただきたいのは、その言い方です。
伝え方に関しては、ブラウンとレヴィンソンという学者たちが提唱している「ポライトネス」という理論が参考になります。この理論では伝え方には2種類、ポジティブ・フェイスとネガティブ・フェイスがあるとされます。
ここでいうポライトネスは、一般的な訳語である「丁寧さ」というよりは、相手と人間関係を円滑に保つための「配慮のある」話し方のようなニュアンスです。
ポジティブ・フェイスとは、他人から理解されたい、好かれたい、賞賛されたいという欲求です。これを脅かさないために、褒めたり、相手の承認欲求を満たすような表現を使うということです。
一方、ネガティブ・フェイスとは、他者に邪魔されず、自由でいたいという欲求を指します。これを脅かさないために、相手の自由を奪ったり、非難したりしないようにするということです。
たとえば、ちょっと手が止まってしまった状況であれば、「疲れたよね。ずいぶん長いこと集中していたもんね。あと少しだね! がんばろうか!」のように、相手のポジティブ・フェイスを満たす言い方にしてみるのはいかがでしょうか。
一方、「もうちょっとがんばりなよ」や「ほらほら、手が止まっているよ」などという直接的な言い方は、相手の自由を奪う表現……つまり、「ネガティブ・フェイス」を脅かす伝え方になり、相手もイラっとするでしょう。
仕事では、時にはハッパをかけたり、叱咤激励も必要です。そんなときでも仲間にかける言葉には、常に愛情とまごころを込めたいものです。
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いかがだったでしょうか?
『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』で紹介されているのは、世界の科学論文などで紹介されたエビデンスがあるメソッド。科学で証明されたノウハウは、きっとあなたの生活に役立つはずです。
テンションが下がった時に試したい、とっておきの方法が詰まった一冊をぜひ書店でチェックしてみてください。
誰でもできるのにほとんどの人がやっていない
科学の力で元気になる38のコツ
発行所/株式会社アスコム
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著者/堀田秀吾(アスコム)
明治大学法学部教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな学問分野を融合した研究を展開。専門は司法におけるコミュニケーション分析。研究者でありながら、学びとエンターテイメントの融合をライフワークにしており、「明治一受けたい授業」にも選出される。また、芸能事務所スカイアイ・プロデュースで顧問を務めるなど、学問と実業の世界をつなぐための活動も続けている。プライベートでは空手、サーフィン、マラソン、近年はヒップホップやロックダンスにも挑戦中と、エネルギッシュな日々を送っている。座右の銘は、「あとでやろうはバカやろう」。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。