株の悩みは資金や銘柄よりも「売り時」
「株の取引に関して悩んでいることはありますか?」という質問に対しては、自由記述で回答してもらった。得られた回答を集計したところ、最も多かったのは「特になし」という回答で、285件に上った。現在の好調な相場状況を反映していると言えるのかもしれない。
そして、前問の「知りたい情報」では「具体的な銘柄」を選んだ人が多かったのに対して、「悩んでいること」としては「売るタイミングが難しい」「いつ売ればいいかわからない」など「売り時」を挙げた人が多くなった。買い時とあわせた「売買のタイミング」と答えた人も多く、実践の難しさを感じているようだ。
また、「仕組みがよくわからない」「難しい」など自身の「知識不足」を悩みだと答えた人も多く、「何から勉強すればいいのかわからない」「相談できる人がいない」といった回答も見られた。さらには、「資金が足りない」「どの株を選べばいいのかわからない」といった資金や銘柄に関する悩みもあった。
そのほかの回答としては、「手数料が高すぎる」「なかなか利益が出ない」「損をしないか不安」「今後の動向が心配」のほか、「思い切って売買できない」「株価が急落したとき(の対応)」などがある。
具体的な回答をいくつか紹介する。
・「売り時が分からず、持ち続けて結局含み損になることが多々ある」(52歳・女性)
・「100%のタイミングが分かる事はないが、それでもやはりどの銘柄をどのタイミングで買い、どのタイミングで売ればいいのか、いつも迷い不安になる」(35歳・女性)
・「下がるのを待って、買おうと思うのですが、買い時がなかなかこない」(43歳・男性)
・「値上がりを期待して、長く持っていたいと思っても、証券会社の社員は利益が少しでれば、すぐに売ることをすすめてくる。買い替えた銘柄がだいたい値下がりで、損ばかりしている」(71歳・女性)
・「持っている株価が下落するとどうしてもしばらく精神的に参ってしまう」(64歳・男性)
・「40年以上株式取り引きやって、悩みはやはり買い時売り時」(68歳・男性)
・「まだまだ知識と経験が不足している」(27歳・男性)
・「トレンドについていけない」(56歳・男性)
・「塩漬けになっている株を早く売りたい」(54歳・女性)
・「相談できる人が居ない」(69歳・女性)
・「もっと株にお金を使いたい」(20歳・女性)
【まとめ】売買のタイミングに悩む人が多い理由
株式投資に取り組む800人を対象とした今回の調査からは、株の取引にあたって最も求められている情報は「具体的な銘柄」であるという結果が得られた。実際、ウェブや雑誌などのメディアでは銘柄に関する記事が多く、こうしたニーズを反映していると言えるだろう。
その一方で、悩みが深いのは「銘柄」ではなく、「売買のタイミング」であることもわかった。このことは、銘柄とは対照的に、タイミングに関する情報が不足していることが理由として考えられる。なかでも「売り時」については、なかなかメディア等で取り上げられることがない。
しかしながら、今回のアンケート結果からもわかるように、実際に株式投資に取り組んでみると、「銘柄」がわかっただけでは、うまく利益につなげられないことも多くある。特に「売り時」の判断は、株取引を経験すればするほど、その難しさを実感させられるポイントでもある。
自身の「知識不足」を悩みとして挙げた人もいるように、実践を重ねる中で、どうしてうまくいかないのかを思い悩み、手探り状態であることを自覚している人も多いのかもしれない。
株式投資は、みずからの力で資産を築くことのできる素晴らしい道だが、「誰でもカンタンに稼げる」というものではない。しっかりとした知識とスキルを身につけ、自分にふさわしい方法を選んで実践することが大切だ。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:株式投資に取り組む20代~70代の男女
(事前調査で「株式投資に取り組んでいる」と回答した人に限定)
調査人数:800人(男性396人、女性404人)
調査日 :2024年2月22日
出典元:株の学校ドットコム
構成/こじへい