ロッテは、「健口スマイル推進事業の展開に関する連携協定」を締結する公益社団法人山口県歯科医師会と、山口県内44園・約1300名の年長園児を対象に、2023年10月より2か月間、園や家庭でフーセンガムトレーニングを実施した。
調査結果の概要
「唾液の量」「咬み合わせの面積」「舌の力」「唇・舌・顎関節の運動機能」など複合的な因子で総合的に咀嚼能力を評価することができるキシリトール咀嚼チェックガムを用いて、トレーニング前後の咀嚼能力を測定したところ、2か月のトレーニングによる改善率は58.6%(回答343名中)という結果が得られた。
また、保護者へのアンケート調査(637名回答)によると、トレーニング前は食事中にペチャペチャと咀嚼音がなっていた園児の過半数が、咀嚼音が改善していることもわかった。
また、昼間(何もしていないとき)に口が開いてしまう(お口ポカン)園児の保護者に、トレーニング後のお口ポカン改善有無を質問したところ、44%が「改善した」、「やや改善した」と回答。
「歯ごたえのある食品の喫食」、「睡眠時の口の開き」、「睡眠時のいびき」「食べこぼし」についても40%以上が改善したことが判明した。
先生(41名回答)からも「毎日楽しんで取り組むことができた」、「自分の歯や噛むことに関心をもつようになった」などの声が寄せられ、取組満足度も90%が「とても満足」、「やや満足」という回答が寄せられた。
調査概要
対象/保育所、幼稚園、認定こども園の年長児童
配布/キシリトール品質フーセンガム(2か月分)、咀嚼チェックガム、説明動画DVD、咀嚼チェックガムスコア記録用紙、膨らませ方説明用紙
方法/園の活動の中でフーセンガムトレーニングを2か月間実施(2023年10月~12月)
評価/トレーニング前後で咀嚼チェックガムによる咀嚼能力を測定、トレーニング後に口腔機能の変化に関するアンケートを実施し集計
参考/ガムを噛むメリット
<口腔の発達>
口腔機能の発達不全は、口の健康だけではなく、生活まで悪影響を及ぼす。子どもたちの口周りの筋力低下の原因としては、やわらかい食べ物が増え、食事で噛む回数が減っていることが挙げられる。この状態を改善するためには、口を閉じる習慣を身につけたり、口を閉じたり舌を動かす筋肉のトレーニングが重要だ。
2022年に徳山めぐみ幼稚園(山口県周南市)で行なった実証実験等により、フーセンガムトレーニングが口腔機能や、お口ポカンの改善に役に立つことがわかっている。
<テストの点数>
中学生を対象にした研究では、14週間継続的にガムを噛みながら勉強することで、噛まないで勉強した子どもたちより、数学テストの点数の増加が大きかったことが報告されている。
脳が活発に働くことで、注意力や集中力が向上することもわかっている。
・出典:J Adolesc. 2012;35(2):455-459
<足の速さ>
中学生の女子生徒で、継続的にガムトレーニングした子どもたちの方が、ガムトレーニングをしなかった子どもたちより、スタートから10mの足の速さが約0.1秒速くなったことが報告されている。
・出典:スポーツ歯学 2020;24(1):12-17.
<免疫>
5分間ガムを噛むことで、唾液中に約2.5倍の免疫物質が分泌されることが報告されている。
・出典:薬理と治療 2020;48(12):2161-2166.
関連情報
https://www.lotte.co.jp/kamukoto/
構成/清水眞希