関門海峡メガジップライン
自然の中をまるで飛ぶように滑り降りるジップライン。国内外で人気のアクティビティーだが、県境、さらには海峡まで越える〝メガ〟ジップラインの建設が予定されている。
「酒を飲みながら『関門海峡を通るジップラインがあったら楽しいね』と妻が話したのがスタートでした(笑)。その後、意外と実現できるかもと思い始め、関係各所を回ってみたところ、強く反対する人もいない。それどころか、応援してくれる自治体や人も現われ始めて今実現に向かって進んでいます」と話すのは、関門海峡メガジップライン実現のために立ち上げたライネックスの大久保 誠さん。距離の長いジップラインは海外にもあるが、関門海峡のような国際航路を横断するものはない。「話を聞いてワクワクした」という同社の中島隆太さんは、地元の金融関係の仕事を離れ、夢の実現に向けてこの企画に人生を懸ける。
「出発地点の火の山公園から関門橋と並走するように時速100㎞を超える速度で滑り降りる形になります。ここでしかできないレアな体験が期待できるとあって、下関、北九州の両市、さらには国交省・中国運輸局からのサポートも手厚くなっています。このメガジップラインは、この周辺を連絡船、ドローンタクシー、トロッコ列車などで周遊するメガトリップエリア構想にも組み込んでいただき、注目度は高まっていると感じています」(中島さん)
まさに規格外のアクティビティー。同時に、総工費、体験料も桁違いになっている。
「一般的なジップラインは、木と木の間にワイヤーを通すだけですが、国際航路を越えるとあってワイヤの張り方を工夫する必要があり、総工費は約10億円。ジップラインの利用料はひとりにつき、カメラを利用した撮影料、山頂までの移動費などを含む2万8000円を想定しています」(中島さん)
価格を見るとインバウンドの富裕層向けという感じでもあるが、身も心も「飛べる」体験、怖いけど味わってみたい?
壇ノ浦の戦い、巌流島など、数々の歴史の舞台になってきた関門海峡。料金は割高に感じるが、そのバックグラウンドをもってすれば、国内の観光客も誘致できそう。
SPEC
(1)ジップライン利用
(2)『GoPro』の貸し出し
(3)送迎サービス(利用者の荷物搬送、到着後のスタート地点への送り、門司港レトロ地区や唐戸地区への送迎サービス)
サービス内容
全長:1740m
最高速度:時速110km
最高高度:海面より136m
到達時間:90〜120秒
ワイヤ:4本(同時に4名フライト可)
3つの交通手段で地域を活性化
エリアを下記のように循環。下関側の「火の山」の麓からロープウェイで山頂へ(D)。ジップライン(A)で関門海峡を越えて九州へ。トロッコ列車(B)で門司港に移動。関門連絡船(C)で再び下関へ。
スタート地点となる火の山公園も複合施設としてリニューアル
写真は、火の山公園展望台。今後、キャンプも楽しめる複合施設として生まれ変わる。
取材・文/今 雄飛 取材協力/国土交通省 中国運輸局