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ハラハラドキドキ、手に汗握るような展開が魅力のサスペンス小説。読書好きな方はもちろん、普段本を読まない方でも先が気になって一気読みしてしまったという経験があるのではないだろうか。実は、一口にサスペンス小説といってもさまざまな種類がある。いざ読もう!と思っても、どんなものを選んだらいいのか迷ってしまうこともあるだろう。
そこで本記事では、サスペンス小説の定義や選び方とともに、一度は読んでおきたいおすすめサスペンス小説を紹介する。
サスペンスと推理小説は何が違う?それぞれの定義とおすすめの選び方
「サスペンス」とは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた心理状態のこと。「観客の心を宙吊りにする」という意味で、ズボンのサスペンダーが語源だという説もある。つまり、読んでいてドキドキするような物語のことをサスペンスと呼ぶ。
厳密には推理小説、ミステリーとは違うもの
対して「推理小説」「ミステリー」と呼ばれるものは、事件や謎の解決が物語の主軸となるものを指す。すべてのサスペンスに謎があるとは限らず、推理小説が必ずサスペンスとは限らないが、謎を解き明かしていく過程でハラハラドキドキする展開になることも多いため、よくこの二つは混同されやすい。
国内には3ジャンルある!サスペンス小説の選び方
サスペンスを選ぶ時は、ジャンル分けによってある程度どのような内容なのかを予測できる。
ホラーサスペンス:正体不明の殺人鬼や幽霊など、未知の存在が恐怖をもたらす
サスペンススリラー:身近なものや人物が恐怖や脅威になる
サイコサスペンス:狂人や異常者が主人公を脅かす存在となる、など
他にも、犯罪を扱うストーリーならクライムサスペンス、法廷や裁判がテーマならリーガルサスペンス、病院が舞台なら医療サスペンス、といった具合に舞台やテーマによってその種類は多岐に渡る。
本の帯や裏表紙に書いてあることも多いので、作品選びの参考にしよう。ホラーやスリラー、サイコは恐怖の要素が比較的多く描写されていることが多いため、苦手な人は避けるのが無難だ。
【初心者にも読みやすい&大どんでん返しが楽しめる】2020年以降に出版された傑作
まずは、2020年以降に発売されたサスペンス小説の中からおすすめの作品を紹介する。人気のシリーズもので自分に合えば、同じテイストのものをの続編でまとめて読む楽しみ方もおすすめだ。
【人気シリーズ再び】『冬の狩人』大沢在昌
『冬の狩人』は、200万部を超えるベストセラー警察小説、「狩人」シリーズの最新作。3年前に発生した未解決事件の重要参考人から、新宿署の刑事・佐江による護衛を条件に出頭するというメールが県警に届く。しかし、佐江は既に警察に辞表を出していた。なぜ”重参”が彼を指名したのか、それを知るために捜査一課の新米刑事・川村に佐江の行動確認の命が下るのだった。マル暴刑事と新人刑事、シリーズ屈指の異色タッグが未解決事件の謎に挑む。
出典 公式サイト|冬の狩人 大沢在昌
【国際的な問題にも切り込む】『アンダークラス』相場英雄
経済記者出身の筆者が、警視庁継続捜査班の刑事・田川信一を主人公として社会に潜む問題を暴くサスペンス、『アンダークラス』。「震える牛シリーズ」の三作目にあたる。今作では、多国籍企業の来襲や外国人労働問題に鋭く切り込む内容。秋田県で発見された老人入居者の死体。容疑者として浮上したベトナム人技能実習生アインは、被害者に乞われて自殺を幇助したという自供を始めるが……。
出典 公式サイト|アンダークラス 相場英雄
【関わってはいけない女性とは】『本性』伊岡瞬
筆者至上最速で10万部を突破した、衝撃のサスペンス『本性』。40歳で独身の尚之は、お見合いパーティーで「サトウミサキ」という女性と出会う。美しく魅力的な彼女に尚之は虜になり、二人は恋愛関係に。しかし、結婚の話が進むにつれミサキは徐々に不審な行動を見せ始めるのだった。一方、焼死事件を追っていたベテラン刑事・安井は、単純に見える事件の裏に隠されたある事実に気づく。関わってはいけない女、「サトウミサキ」の正体とは?
出典 公式サイト|本性 伊岡瞬
日本作家のサスペンス小説
ここでは、日本作家のサスペンス小説を紹介する。綾辻行人の「館シリーズ」は、これをモチーフにしたゲームが作られたり、他の作家が題名をパロディにした作品を出版したりと人気の高い作品だ。
【現代医療の問題にメス】『ドクター・ステルベンの病室』桂修司
現役医師である桂修司が、現代医療の問題を描いた医療ミステリー『ドクター・ステルベンの病室』。真面目で献身的な医師・波木は、忙しい日々の中でも患者一人一人に向き合っていた。だが、傍若無人で利己的な「モンスター」、市議会議員の堂本が入院してきたことで次第に波木の心には闇が広がっていく。窮地に追い込まれた波木がとった行動とは?
出典 公式サイト|ドクター・ステルベンの病室 桂修司
【とにかく面白い有名作品】『十角館の殺人』綾辻行人
素人探偵・島田潔が、今は亡き建築家・中村青司が作った建築に魅せられ、訪れた彼の館で事件に巻き込まれていく「館シリーズ」の第一作となる長編本格推理小説、『十角館の殺人』。十角形の奇妙な建物が建つ孤島を訪れた大学ミステリ研の7人。館を建てた中村青司は、半年前に焼死していた。そして、7人を襲う連続殺人事件……。「とにかく面白いサスペンス小説が読みたい」「どんでん返しの結末が見たい」という人におすすめ。多くの読者に衝撃を与えた名作だ。
出典 公式サイト|十角館の殺人 綾辻行人
【衝撃のホラー・サスペンス】『殺戮にいたる病』我孫子武丸
サウンドノベルの名作、「かまいたちの夜」のシナリオライターとしても有名な我孫子武丸の作品、『殺戮にいたる病』。永遠の愛を求める主人公・蒲生稔が、東京の繁華街で好みの女性を次々と猟奇的殺人に巻き込んでいく。凄惨な凌辱と殺戮の狭間に見え隠れする、蒲生の本当の望みとは?最後の一ページで読者を驚愕に陥れる、衝撃の叙述トリックは一読の価値あり。思わず二回目を読みたくなること間違いなし。
出典 公式サイト|殺戮にいたる病 我孫子武丸
【ランキング1位の人気作】『俺の恋愛は人生ゲーム??〜かと思ったら命がけのゲームだった〜 』わるいおとこ
無料小説投稿サイト「小説家になろう」にて総合ポイントランキング1位を獲得したこともある『俺の恋愛は人生ゲーム??〜かと思ったら命がけのゲームだった〜』。平凡なニート長谷川亮は、目覚めたら現実そっくりな恋愛ゲームの中にいた。しかしそれは、ゲームの世界から脱出するために命がけで危ない女たちを攻略しないといけないゲームだった!?現在コミカライズも連載中。
出典 公式サイト|俺の恋愛は人生ゲーム??〜かと思ったら命がけのゲームだった〜 わるいおとこ
海外作家のサスペンス小説
最後に紹介するのは、海外作家のサスペンス小説。どの作品も大きな話題となり、映画化されたものばかりだ。小説の世界をより深く理解するためにも、気に入った作品はぜひ映画でもチェックしよう。
【悪の金字塔と呼ばれる傑作】『羊たちの沈黙』トマス・ハリス
大衆の前に姿を現すことがなく、非常に謎の多い作家トマス・ハリスによるサイコサスペンス小説の名作『羊たちの沈黙』。女性の皮を剥ぐ連続殺人鬼、バッファロウ・ビルの事件の手がかりを得るため、FBI訓練生クラリス・スターリングが助言を求めたのは患者を何人も惨殺した医学博士、ハンニバル・レクターだった。”悪の金字塔”とも評されるレクター4部作の一作目。
出典 公式サイト|羊たちの沈黙 トマス・ハリス
【死刑囚からの依頼と条件とは】『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン
日本の年末ミステリ・ベストテンで史上初の三冠を達成した『二流小説家』は、作者デイヴィッド・ゴードンの処女作。フリーランスのゴーストライターとして活動している主人公、ハリー・ブロックの元に4人の女性を惨殺した死刑囚から手紙が届く。死刑執行を目前にした彼は、とある条件を引き換えに、事件の全貌を語る本を執筆してほしいと依頼してきたのだった。
出典 公式サイト|二流小説家 デイヴィッド・ゴードン
【発売後すぐランキングトップに】『ダヴィンチ・コード』ダン・ブラウン
ハーバード大学の宗教象徴学教授が主役の長編小説、『ダヴィンチ・コード』は、「天使と悪魔」に次ぐロバート・ラングドンシリーズ第二弾の作品(映画は『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)、『天使と悪魔』(2009年)の順で公開)。ルーブル美術館の館長が館内で異様な死体で発見されたことを発端に、レオナルド・ダ・ヴィンチの世界的作品ウィトルウィウス的人体図、モナ・リザ、最後の晩餐などに隠された謎を暴いていく物語。
出典 公式サイト|ダヴィンチ・コード ダン・ブラウン
文/oki