2009年9月以来、X(旧Twitter)への「あるあるネタ」投稿をほぼ毎日続けている、お笑い芸人のつぶやきシローさん。先月末には、約15年の「つぶやき」からセレクトしたものをまとめた本が発売に。投稿を始めたきっかけから、継続の裏側にある本音まで、本人に率直な思いを聞いた。
「やめたいけどフォロワーさんに失礼だから、何となく続けています」
つぶやきシローさん
1971年、栃木県出身。1994年、ピン芸人としてデビュー。栃木訛りで繰り出す「あるある」ネタが受けブレークする。小説『イカと醤油』(宝島社)、『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館)は、2022年に映画化もされた。ほか、『こんな人いるよねぇ~』(自由国民社)、『3月生まれあるある』(さくら舎)、絵本『つぶやき隊』(TOブックス)など出版している。本書のもととなっているXでのPOSTは、2009年9月から投稿。フォロワーは100万人ぎみ。
好評発売中
『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』
「僕のあるあるネタが、まんべんなく伝わればいいなぁと思ってますけどね」
100万人に迫るフォロワー数を誇るつぶやきシローさんのXアカウント。きっかけは2009年9月、とある雑誌の企画だったという。その頃のX(当時Twitter)といえば、2008年4月に日本語版サービスが始まって1年が経過。芸能人や政治家が続々とアカウントを開設するなど、ユーザーが一気に増加し、「ツイートする=つぶやく」というスタイルが徐々に浸透した時期だ。
「芸名がつぶやきだからね。『やってみませんか?』って。でも元々SNSをやるタイプではないから、設定の仕方もわからない。だから、アカウント開設の作業は全部『Twitter JAPAN』の人にやってもらったんです。『毎回、ここに書き込むだけですから』って言うから、まあ、それならできるかな〜くらいの軽い気持ちでした」
雑誌の発売日をひとつのめどにスタートしたアカウントだったが、いざ始めてみると、想像していた以上のペースでフォロワーが増えていった。
「なんか、そうなると、今さら『ツイートやめます』ってのも言いづらいな、と思っちゃって……。思い返してみると、そう言う人生なんですよ。芸人になったのも、最初はまともな契約書なんてなくて、事務所の〝預かり芸人〟でしたから。その頃毎週木曜18時にネタ見せがあったんだけど、それが本当に嫌でね。当日の昼くらいまでダラダラして、ギリギリでネタ仕上げて乗り切る生活。周りでは芸人を辞めていくヤツもたくさんいましたよ。でも僕は、『やめる』が言えないの。Xもそう。『やめる』が言えなくて、今がある」
スタッフが「これ好き」っていうのを入れたりね。意外と僕はなんでもいいの(笑)
本は「1ページ1つぶやき」の構成。過去のすべての投稿をさかのぼってセレクトした。右端にある「追いつぶやき」は本人による書き下ろし。
コメントは見ないよ。そもそもスマホあんま触んないもん。
投稿するたび、それに呼応するかのようにフォロワーからの「追いあるある」の応酬が。時には、リプライ数が100を超えることもある。