「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
「名前が出てこない」はよくあること。見極めポイントは「身近な人」の名前
■単なる老化と認知症グレーゾーンの違い
「あの俳優の名前、何だったっけ?」「ほら、有名な俳優だよ。えーっと……」
そんなやりとりは、年をとると誰でも増えてきます。
でも、自分の子どもや孫など、ごく身近な親族の名前をなかなか思い出せない、となると話は別。認知症グレーゾーンが始まっている可能性が濃厚です。
Hさん(78歳・男性)には、2人のお孫さんがいらっしゃいます。一人は小学2年生、もう一人は幼稚園児で、ともに男の子。どちらも70歳を超えてから生まれたお孫さん
なので、目に入れても痛くないほど可愛がっていました。
それが最近は、2人の孫の名前を間違って呼んだり、誕生日を忘れたりして、「おじいちゃん、大丈夫?」と、幼い孫たちに心配される始末。
Hさんはすっかり落ち込み、娘さんに連れられて当院を受診して、認知症グレーゾーンだとわかりました。
■家族の気づきポイント
Hさんの変化は、じつは自分のお子さんに対しても見られました。
これまでずっと息子さんのことを名前で呼んでいたのに、急に「おまえ」とか「おい」で済ますようになったといいます。
こうした近親者の名前のど忘れが何度も繰り返されるようなら、認知症グレーゾーンへ進んでいる可能性を疑うべきでしょう。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。