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認知症のリスクは「電子レンジの使い方」で見極められる?

2024.05.10

「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。

ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!

認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。

家電の操作のもたつきはリカバリーできるかどうかがカギ

■単なる老化と認知症グレーゾーンの違い

年をとると、若い頃は簡単にできた家電の操作にも、もたつくようになります。

たとえば、全自動洗濯機。最近までは難なく使えていたのに、加齢とともに老眼が進んだり、手の細かい動きが鈍ってきたりすると、「あっ、押し間違えた」というミスが起こりやすくなります。

それでも、落ち着いていったん電源を切り、再度スタートボタンを押して操作し直すことができれば、多少もたついたとしても老化現象の範囲内です。

一方、ボタンの押し間違いに気づかなかったり、気づいてもリカバリーできず、洗濯をあきらめてしまったりするようなら、認知症グレーゾーンが疑われます。

早くに奥さんに先立たれた一人暮らしのGさん(67歳・男性)は、定年まで公務員を勤め上げ、定年後も再雇用で65歳まで働き続けた、とても誠実な方でした。

そんなGさんが引退して2年後の、ある真夏の暑い日のことです。

近所に住んでいる娘さんのところに、「エアコンが故障して動かない」とGさんから連絡が入ったのです。

娘さんは父親が熱中症になっては大変だと思い、急いでかけつけました。

しかし、Gさんの行動を見てびっくり。Gさんは、テレビのリモコンをエアコンに向け、必死で電源ボタンを何度も押していたのです。

このように、家電の簡単な操作ができなくなることで家族が異変を感じ、受診につながることはよくあります。

■家族の気づきポイント

家事を普段まったくしない男性が、奥さんが亡くなったあと、洗濯機や掃除機の使い方がわからないという場合は問題ありません。

ご家族の気づきの最大のポイントは「今まで当たり前に使っていた家電が、急に使えなくなる」という点です。

また、認知症グレーゾーンで家電の使い方がわからなくなっても、操作が簡単な「電子レンジだけは使える」という人が結構いらっしゃいます。

いわば電子レンジは最後の砦で、電子レンジが使えるうちは、出来合いの総菜を買ってきてチンして食べられるため、グレーゾーンの人でも一人で生活できます。

逆にいうと、電子レンジを使えなくなったら、かなりの重症です。

グレーゾーンを超えて認知症が始まった証ともいえます。

診断を受けたうえで、ストーブ、コンロ、アイロンなどの危険がともなう家電の使用は避けさせることを提案します。

また、電気コードの劣化や、ほこりがたまることによる火災も考えられます。とくに、高齢の親御さんと離れて暮らすご家族は、帰省したときにしっかりと確認するなど、注意して見てあげてください。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。

認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。

認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
Amazonで購入する
楽天ブックスで購入する

著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。

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