「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
連続ドラマを観なくなるのはストーリーを覚えられないから
■認知症グレーゾーンのサイン
Fさん(74歳・女性)は、テレビドラマが大好きで、とくにNHKの朝の連続ドラマを若い頃から欠かさず観ていました。
ところが、70歳を過ぎた頃から、朝ドラを観ている途中でチャンネルを変えるようになり、そのうちテレビは相撲と懐メロの歌番組しか観なくなりました。
Fさんのような変化は、認知症グレーゾーンの人によく見られる現象です。
連続ドラマというのは、前回のストーリーを覚えているからこそ、次の展開を楽しめます。ところが、認知症グレーゾーンの人は前回のストーリーの記憶が薄れているので、ドラマの展開を追うのが難しくなります。
一方、相撲や懐メロの歌番組は、何も考えずにボーッと観ていられます。記憶に残す必要もないため、ストレスなく視聴できるのです。
ただし、『水戸黄門』や『相棒』のような一話完結のドラマであれば、認知症グレーゾーンであっても楽しめます。
■家族の気づきポイント
ご家族が不思議に思い、「なぜ観ないの?」と尋ねると「最近のドラマはつまらない」と答えるケースがよくあります。
しかし、それはその場の言い逃れであり、実際はそれまでのストーリーの記憶がないので「意味がわからない」「つまらない」と感じている場合が少なくありません。
言葉の背景にある本心を察する必要があります。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。