「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。
ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!
認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。
ノーメイクやボサボサ髪も「人前では整えられている」ならまだ安心
■単なる老化と認知症グレーゾーンの違い
もともと無精で、「毎朝お化粧するのがめんどうくさい」「ヒゲ剃りがなければ、もっと寝坊できるのに」と思う人もいるでしょう。とくに定年後は家で過ごす日が増え、見た目のケアに手を抜きがちです。
それでも、人前に出るときはきちんと身だしなみを整えられているなら、単なる老化の範囲内。これに対して、以前と違って人前でもノーメイク、または無精ヒゲのまま平気で過ごすようになったら、認知症グレーゾーンが疑われます。
たとえばCさん(78歳・男性)は、若い頃からおしゃれに人一倍気を遣っていました。
近所のコンビニへ行くときも、髪形をびしっと整え、ヒゲを剃り、服装も整えて、いつ誰に見られても恥ずかしくないコーディネイトを心がけていたほどです。
ところが、70代半ばを過ぎた頃から、「ちょっと買い物をするだけなら、ヒゲ剃りなんていいか」と言いだし、そのうちボサボサ髪で、上下スエットのまま外出するように。「これは何かおかしい」と不安になった娘さんが内科の主治医に相談して、認知症の専門外来につながったケースです。
■家族の気づきポイント
Cさんのように、「今までと違う」という変化はご家族が気づく最大のポイントです。
初夏なのに冬物を着ていたり、フォーマルなものとカジュアルなものをちぐはぐに組み合わせていたり。あるいはにおいなどの五感も鈍くなるため、お風呂に入りたがらない、下着を毎日取り替えなくても気にしない、といった変化もよく見られます。
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いかがだったでしょうか?
「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。
認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
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著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。