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60歳からは常識をリセットしたほうがいい?「羽目を外した生き方」が認知症予防につながる理由

2024.05.04

「パック入り卵を4日連続で買ってしまった」「身近な人の名前が出てこない」など、最近何かがおかしいと感じることがあったら……それは認知症の警告サイン!?正常な脳と認知症の間にある〝認知症グレーゾーン〟かもしれません。

ちょっとおかしいという異変に気づいたら、認知症へ進む前にUターンできるチャンス!

認知症の分かれ道で、回復する人と進行してしまう人の違いは何なのか。40年以上、認知症の予防と研究に関わってきた認知症専門医の朝田隆さんによる著書『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』から一部を抜粋・編集し、健康な脳に戻るためのヒントを紹介します。

「年甲斐もない生き方」がUターンのカギ

■「こうあるべき」から自由になる

『週間朝日』の副編集長を務めていた山本朋史さん(71歳・男性)。彼は60歳を過ぎたころから、ダブルブッキングなど仕事でミスを繰り返すように。2013年に受診し、MRIと脳血流の検査によって認知症グレーゾーンであることが判明しました。彼の言葉や生き方には、認知症グレーゾーンからUターンするためのヒントが詰まっています。

山本さんは、認知症グレーゾーンからUターンするための最大のカギは「セルフケアを継続すること」に尽きるといいます。そして、「楽しみながらセルフケアをできたことが、長く続けてこられた一番の理由だった」とも。

山本さんの言葉に学びましょう。

「楽しむ」ことは、セルフケアを続けるうえでとても重要なキーワードです。

私はいつも「60歳を過ぎたら〝年甲斐もない生き方〟をしましょう」と、講演会などでお話ししています。

たとえば、60歳を過ぎて筋トレを始めたりすると、「年寄りがそんなことをすると、ひざを痛めたり、骨折したりする危険があるからやめたほうがいい」と、周囲の人はたいてい反対します。しかし実際には、骨折を恐れて何もしないよりも、無理のない範囲で筋トレを行ったほうが、足腰を鍛えるうえで有効なのはもちろん、脳が刺激されて認知症対策にも効果があります。

とかく世間では「高齢者はこうあるべき」という偏見があり、その枠から外れた行動をとると猛烈に批判されがち。ファッションにしても、お化粧にしても、はたまた恋ゴコロにしても同様です。

ですが、「年甲斐もないことをする」ことでこそ、人生100年の時代を後悔なく生きることにつながる―そんなことを私に気づかせてくれた一つのきっかけが、Aさん(88歳・女性)の写真集でした。

■『ピカピカ88―娘たちの着物に袖を通して―』の写真集が教えてくれたこと

Aさんは、私の患者さんの一人で、受診されたときにすでに認知症を発症しており、ふつうには回復が難しいと考えられました。しかし、認知症の患者さんによく見られる「気持ちの落ち込み(抑うつ)」「不安・落ち着きのなさ(焦燥)」「暴言・暴力」といった周辺症状はほとんど見られず、いつも笑顔で過ごしておられます。

これにはAさんの娘さんが、Aさんのそばにいつも寄り添い、温かく接していることが大きく影響していると思われます。

そんなAさんの娘さんが、Aさんのために企画・制作進行をして写真集を作りました。『ピカピカ88―娘たちの着物に袖を通して―』という写真集です。

そのタイトルどおり、88歳になったAさんが晴れやかな若々しい着物姿で、きれいにお化粧し、満面の笑顔で撮影された写真がたくさん収載されています。

娘さんからのご依頼で、私はその写真集のあとがきに次のような文章を寄稿しました(冒頭の一部を省略)。


アンチエイジングとか熟年期の充実とか言われます。しかし多くの人にとって何をしたらいいのか? これは難しい問いです。その回答を突き詰めるなら、他人から認めてもらう、自分の存在を知ってもらうことだと思います。そのためには、一見「年甲斐もないことをやる」ことです。「年甲斐もない」という発言には、因習やこれまでの常識へのとらわれがこもっているようです。

「年甲斐もない」を実行するのに何をやるか? その基本は若い頃から好きだったこと、得意な分野などにあるでしょう。趣味、スポーツ、歌唱や演奏、おしゃれなどなど。それらを受け身でなく自らが創り演出することです。とは言っても、真似したくなる前例がそうあるわけでないのでここが難しい。そこを突破するヒントを与えてくださったのが、このAさんの写真集です。88歳になられた今でもみずみずしい美しさを、これまでの常識にないファッションの選択、それにマッチした髪型やお化粧でまとめ上げられました。忘れてならないのは、こうしたチャレンジでお母さんを活性化しようと企画し写真集に仕上げられたお嬢さんの心意気です。母と娘間の理解と共同でこの見事な作品集が仕上がっています。

人生百年時代の今日、誰しも「老」と言われてきた人生後半戦も生き甲斐・張り合いをもって生きたいものです。その難しい課題を一見「年甲斐もないこと」をやることで「見える化」したのがこの写真集です。


60歳を過ぎたら、年甲斐もないことをやりましょう。

ファッションでも、お化粧でも、生き方でも、何でも構いません。

これまでずっと〝常識〟だと思ってきたことをいったんリセットし、自分のやりたいことがあったら、たとえ常識の枠から外れることであっても、周りの目を気にせずに挑戦する。

ときには羽目を外したことに挑戦するほうが、脳はリフレッシュします。そう考えるだけでも脳が活性化され、認知症や認知症グレーゾーンを退ける一助となります。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

「おかしい」と感じてから専門の医療機関を受診するまでに、何と平均4年かかるというデータもあるそうです。その間に、認知症の症状はどんどん進行していってしまいます。

認知機能をセルフチェックし、正しい生活習慣を身につけるためのヒントが詰まった一冊『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』。ぜひ書店でチェックしてみてくださいね。

認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
発行所/株式会社アスコム
Amazonで購入する
楽天ブックスで購入する

著者/朝田 隆(アスコム)
認知症専門医
東京医科歯科大学客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長、メモリークリニックお茶の水院長
1955年島根県生まれ。1982年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年に筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授に。2015年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。2020年より東京医科歯科大学客員教授に就任。
アルツハイマー病を中心に、認知症の基礎と臨床に携わる脳機能画像診断の第一人者。40年以上に渡る経験から、認知症グレーゾーン(MCI・軽度認知障害)の段階で予防、治療を始める必要性を強く訴える。クリニックでは、通常の治療の他に、音楽療養、絵画療法などを用いたデイケアプログラムも実施。認知症グレーゾーンに関する多数の著作を執筆し、テレビや新聞、雑誌などでも認知症への理解や予防への啓発活動を行っている。

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