遊んで学べる墳ターテイメント!風土記の丘で墳ピクを楽しもう―【古墳王子の早口コラム】
こんにちは、小学生の頃から古墳の魅力に目覚め、訪ねた古墳は2900基以上の高校生、古墳王子です。
このコラムでは皆さんにディープでマニアックな古墳の魅力が伝わるよう、僕が感じた感動や発見をオタク特有の早口でお伝えしていきます。
今回のテーマは風土記の丘と墳ピクについて。
突然ですが、墳ピクという言葉を皆さんはご存じだろうか? 墳ピクとは古墳ピクニックの略で、ぼくが所属している『古墳にコーフン協会』が、10年以上前から提唱している古墳の楽しみ方の一つです。
春は暖かく外で過ごしやすい気候で、桜や菜の花、ツツジなどたくさんの花々が咲き乱れ、なんだか気分もほんのりアゲアゲな季節。
そこに古墳が加わることで……なんということでしょう!景色もさることながら、先史古代の歴史に思いを馳せ会話の幅も広がり、もし史跡公園として整備されている風土記の丘などの歴史公園なら、埴輪や復元住居を愛でながら安全かつ安心してピクニックを楽しめるのです!
肥後古代の森(熊本県山鹿市)
全国に16か所存在する「風土記の丘」とは!?
現存する全国およそ16万基の古墳のうち、その多くは山奥や私有地など人が簡単に踏み入ることができない場所にあったりしますが、文化財保護法が制定されて以降、文化庁により国の指定史跡になった一部の古墳や城・仏閣など広域にわたる遺跡を環境整備し、遺跡から出土した文化財や史料を展示する資料館も備えた一大歴史テーマパークとして各自治体が主体となって保存しながら活用する、それが「風土記の丘」構想。
現在は全国に16か所存在し、試行錯誤を重ねながら現在進行形で未来へ向けて地域みんなでじっくり育てています。
ちなみに、ぼくはこのうちの11か所はすでに制覇している風土記の丘大好きマンでして、自分が好きなものがある場所に行ってみたらそこが風土記の丘であったというだけのことなんだけども、実際に現場を訪れて気がついたことを記してみたい。
では具体的にどこにどんな風土記の丘があるのか見ていきましょう。
こちらはぼくが独自に調べて作ったリストなので間違いがあったらごめんなさい。なるべくわかりやすく自治体名と設置年度を記載しましたが、よく見るといくつかの疑問点が浮かび上がってくることにお気づきだろうか?
どこいっちゃったの?文化庁の風土記の丘構想
まず気になるのは設置年度。1993年を最後に21世紀に入っても新たな風土記の丘が誕生していない。
さらに調べを進めたところ、文化庁の風土記の丘構想にカウントされていないところで、茨城県の常陸風土記の丘と長崎県の壱岐風土記の丘の存在は確認されましたが、全国47都道府県もあるのに、18か所しかないのも少なすぎる。
例えば福岡県なら、岩戸山古墳を中心とした八女古墳群一帯とか、香川県なら石清尾山古墳群一帯。奈良県はまるごと全部風土記そのものだし、三重県には美旗古墳群が、愛知県には名古屋で一番高い山・東谷山を中心に志段味古墳群がある。
長野県には大室古墳群、新潟は縄文時代の火焔形土器で有名な中越地方、青森は……と数え出したらキリがないほど、日本列島には注目すべき遺跡が数多くあり、風土記の丘と称するに相応しい場所がたくさんあるじゃないか!
そもそも名前の由来となる風土記とは、奈良時代初期のいわゆる郷土誌で、地方の役人がその地域の歴史や伝承・文化などを聞き取り、記録し天皇(朝廷)に報告したもの。現存するのは写本のみで、その内容の真偽は定かでないが、きっと当時は全国津々浦々の風土記があったものと推察される。
そんな風土記の丘構想が最近何だか中途半端になってる感じがするのは気のせいか。最後の設置から30年以上経過しちゃって、これじゃ風土記の丘が遺跡を保存する昭和遺跡になっちゃうよ!
そんなモヤモヤした気持ちの隙間にスッと入り込んできたヤツがいる……
笹山遺跡(新潟県十日町市)