イヤーカフ型イヤホンって音質や音漏れはどうなの?
HUAWEI FreeClip、Bose Ultra Open Earbudsは、広義ではオープン型に分類されます。
オープン型は、カナル型のように密閉されていないため、音がのびやかに広がる、中高音域に強い製品が多くありますが、今回試した2製品は、どちらかというと低音の響きに特徴を持ちます。
2製品で比較すると、HUAWEI FreeClipのほうが、低音から高音までのバランスに長けており、幅広い音域を心地よく再生できます。
オープン型としては低音に強い製品ですが、クセが少ない音作りになっているので、ジャンルを問わないのが魅力。動画再生や、Web会議に用いるのも快適です。
一方、Bose Ultra Open Earbudsは、〝さすがBOSE〟と思わされるチューニング。音のメリハリがはっきりしており、特に低音のドンシャリ感が強く前面に出ているので、BOSEファンにとっても、満足のいく音質でしょう。
2製品に関しては、どちらの音質が優れているというものではなく、あくまで好みの違い程度といえるので、迷っている人は、購入前に家電量販店などで視聴をするのがおすすめ。ついでに、着け心地もチェックしてみてください。
■イヤーカフ型イヤホンって音漏れの心配はないの?
カナル型と違い、イヤーカフ型は音を再生するパーツがむき出しになっているため、音漏れが心配という人もいるはず。2製品とも、音を出す部分が耳の穴に近いため、音量を極端に大きくしなくても、しっかりと耳に届きます。
また、再生時に再生音と逆位相の波を作ることで、音漏れを抑制する機能が搭載されています。そのため、極端に再生音量を大きくしない限り、周囲の人に音が聞こえてしまう心配は低いです。
とはいえ、再生音量を大きくしすぎてしまうと音が漏れてしまうので、カナル型よりは周りへの配慮が必要です。
また、耳を塞がない形状から、周囲の音がある程度はっきりと聞こえるので、電車内などではノイズが大きく、音楽に集中できないことがあります。通知を聞くため常に着けておきたい製品ですが、個人的には屋内での使用のほうが、利便性に長けている印象です。
アプリの完成度も上々。Androidスマホユーザーは注意が必要
ワイヤレスイヤホンを使う上で、近年はアプリの使い勝手も重要なポイントとなります。
Bose Ultra Open Earbudsは、iPhone、Androidスマホのどちらにも「Bose Music」アプリを配信しており、イコライザーの調節や再生モードの切り替え、物理ボタンのコントロールの設定が可能。また、音量調節や曲送りもアプリから行えます。
アプリ画面はわかりやすく、できる操作も多い印象。いまやほとんどのオーディオメーカーが、専用アプリを配信している時代ですが、中でもBose Musicアプリはかなり完成度が高い印象です。
一方、HUAWEI FreeClipは、「HUAWEI AI Life」を使って、ジェスチャーコントロールの設定やイヤホンの検索、マルチポイント接続の設定が行えます。
アプリの完成度は高く、使いやすく仕上がっていますが、Androidスマホの場合は、Google Playストアからアプリをインストールできず、ブラウザから直接アプリをインストールする必要があります。
HUAWEIとGoogleの関係から、どうしようもない部分ではあるものの、普段使用しているアプリストアにアプリが用意されていないため、使うのにハードルを感じる人がいるかもしれません。
イヤホンやスマホの操作に慣れていれば、あまり難しくありませんが、Androidスマホユーザーは、購入前にアプリのインストールにひと手間かかることを念頭に置いておきましょう。
ただし、iPhoneの場合はApp Storeから直接AI Lifeアプリがインストールできます。また、Androidスマホでも、アプリを使わずに接続することはできるので、あまり難しくとらえるべきポイントではないともいえます。
■Bose Ultra Open Earbudsはマルチポイント非対応
HUAWEI FreeClipは、ワイヤレスイヤホンのトレンドともいえる、マルチポイント機能に対応。また、通信機器を多数取り扱うメーカーだけに、接続の安定性が抜群で、使い勝手がかなり良い印象です。
一方、Bose Ultra Open Earbudsはマルチポイントに非対応。アプリから「デバイスの切り替え」操作は行えますが、自動的に切り替わらないのは少々不便です。
今後のソフトウエアアップデートで、マルチポイント機能に対応するともいわれていますが、購入時には少し気をつけるべき点といえます。
イヤーカフ型が見せる新時代のイヤホンの使い方
カナル型や一般的なオープン型と違う、新しい形状といえるイヤーカフ型を試しましたが、両製品とも装着感が良く気に入っています。電車移動時などに使いにくいという弱点はありますが、用途に適した使い方をすれば、満足度は高い印象です。
また、2製品ともアプリの完成度が高いのも魅力。近年の完全ワイヤレスイヤホンにふさわしい仕上がりなので、多くの人に勧めたいと感じています。中でも、自宅作業中にイヤホンを多用する人や、オンライン会議が多い人は要チェックです。
装着したままでも周囲の音が聞こえるため、着けたまま会話もできます。通知の読み上げ機能なども合わせると、イヤーカフ型を片側ずつ常時着用する、新しいライフスタイルも便利です。
スマホのように広く社会に定着し、数年後にはファッションアイテムのように、街中の人がほとんどイヤーカフイヤホンを装着している風景さえ浮かぶ、可能性を感じるデバイスなので、今のうちに一度試してみてはいかがでしょうか。
取材・文/佐藤文彦