国土交通省の調査によると、全国に空き家は約849万戸あり、空き家率は13.6%と過去最高の水準になっている(※1)。野村総合研究所は、2038年には空き家数は2,303万戸に達し、空き家率は31.5%まで上昇するというシミュレーション結果を公表した(※2)。
国土交通省は空き家対策の強化のため、2023年6月に改正空家対策特措法(※3)を公布。同法は2023年12月13日に施行、さらに2024年4月には相続登記が申請義務化されるなど、行政による空き家対策が強化されている。
改正空家対策特措法は、周囲に悪影響を与える特定空き家の除去推進、管理不全空き家に対する固定資産税の優遇措置の撤廃、空き家等活用促進区域での建替え・用途変更の促進、空き家等管理活用支援法人の指定による自治体担当者の人手・知見不足の解消を主な目的に据えている。
いえらぶGROUPは、強化された空き家対策の実態を探るべく、不動産会社およびエンドユーザー1,294名に対し「空き家に関する調査」を実施した。
改正空家対策特措法を知っている不動産会社は40%未満、都内では30%に届かず
改正空家対策特措法について「知っている」と回答した不動産会社は全体で39.8%であった。都内29.1%、都市圏41.8%、地方圏48.6%と、エリアにより大きく差がある。
法改正のポイントとなる管理不全空き家についても「知っている」との回答は都内20.0%、都市圏35.7%、地方圏32.4%と都内の遅れが目立つ。
「空き家の相談・取引は増えていますか?」という質問に対して「増えている」「どちらかというと増えている」と答えた不動産会社は、地方圏で73.9%、都市圏で60.2%、都内で46.4%と、地方圏で大きく増えている。
業種別にみると売買仲介会社が最も高く、「増えている」と回答した売買仲介会社は72.3%、賃貸管理会社60.0%、賃貸仲介会社51.0%と差があった。
空き家物件の売却相談が増加していると考えられ、改正空家対策特措法の施行後には、さらに相談・取引が増えると予想される。
エンドユーザーに「今後、家族や自分の家が空き家になると思いますか?」とたずねたところ、世代による差が見られた。
都内で「空き家になる」と回答したエンドユーザーは、20代以下で64.7%、30~40代で47.2%、50代以上で38.2%という結果に。「誰かが引き継ぐ」と考えている中高年層に対して、若年層は引き継ぐ意思がないことが分かる。
なお、都市圏で「空き家になる」との回答は、20代以下で63.6%、30~40代で60.3%、50代以上で50.6%、地方圏では20代以下で60.0%、30~40代で63.1%、50代以上で60.6%と都内と比べて大きな差は出ていない。
しかし、年代が上がるほど「空き家にならない」という回答が増える傾向が見られた。
調査概要
調査期間:2023年11月1日(水)~11月12日(日)
調査機関:自社調査
調査対象:不動産会社:「いえらぶCLOUD」を利用している不動産会社の従業員など、エンドユーザー:「いえらぶポータル」利用ユーザーや同社SNSフォロワーなど
有効回答:不動産会社319名、エンドユーザー975名
調査手法:インターネット調査
※1:国土交通省住宅局「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」
※2:株式会社野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題」
※3:国土交通省住宅局「空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」
関連情報
https://ielove-cloud.jp/blog/entry-04754/
構成/Ara