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「アサーション」が注目されている理由とスキルをアップする方法

2024.05.23
コミュニケーション方法の一種である『アサーション』は、よりよい人間関係を構築する基礎となるものです。
自分の自己主張のパターンを知り、普段の生活にアサーションの考え方を取り入れましょう。自己主張のコツやトレーニング方法を解説します。

「アサーション」とは?意味と起源を解説

「本音が言えなくて苦しい」「つい厳しい口調になってしまう」など、コミュニケーション上の悩みを抱える人は多いものです。

良好な人間関係を構築したい人は、アサーションの考えを取り入れてみましょう。

■コミュニケーション方法の1つ

『アサーション』とは、一種のコミュニケーション方法です。

英語のassertionには『自己主張』という意味がありますが、コミュニケーション方法としてのアサーションは、相手の意見を尊重しながら、自分の意見をはっきりと伝えることを意味します。

日本人は、周囲の空気を読んで行動をする傾向があります。和を重んじるのは良いことですが、自分の意見を主張できなかったり、Noと言えなかったりして、ストレスを抱え込む人は少なくありません。

アサーションを身に付ければ、自分と他人の両方を尊重したコミュニケーションができるようになります。

■アメリカで広まった「アサーション」

アサーションとは、自己表現の技術を指し、1950年代のアメリカで心理学者アンドリュー・ソルターによって提唱されました。

当初は行動療法の一環として、自己表現に苦手意識を持つ人々を対象に開発された方法です。

この考え方は医学用語として捉えられていましたが、公民権運動が自己表現の重要性を浸透させるきっかけとなり、より広く認識されるようになりました。公民権運動は、アメリカの黒人が人種差別の撤廃と公民権の適用を求めて実施した大規模な運動です。

長年社会的に抑圧された人々は、しばしば自己主張が難しく、時には暴力的な物言いに頼ることがありました。

アサーションはこのようなコミュニケーションの課題を克服するためのトレーニング方法として広まり、1980年代には日本でも利用されるようになりました。

自己主張のパターンは3種類

ビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

アサーションを身に付ける上では、自分のコミュニケーション方法を客観的に知ることが重要です。自己主張のパターンは、『ノン・アサーティブ』『アグレッシブ』『アサーティブ』に大別されるといわれています。

■自己主張が苦手な「ノン・アサーティブ」

ノン・アサーティブは、『非主張タイプ』ともいわれます。

自己主張をするのが苦手で、相手の意見を優先するか、曖昧な意見でその場を乗り切ろうする傾向があります。言い訳が多いのも特徴の一つです。

自己主張ができない理由はさまざまですが、根底には『相手に否定されるかもしれない』という恐怖心を持っている傾向があります。相手の無理難題を受け入れてしまうケースもあり、仕事でもプライベートでもストレスがたまりやすいでしょう。

なお、口数が少ない人が必ずしもノン・アサーティブであるとは限りません。明るくて社交的に見える人の中にも、自己主張ができない人は多くいます。

■攻撃的になりがちな「アグレッシブ」

ノン・アサーティブと正反対のタイプが、アグレッシブです。

歯に衣着せぬ物言いで意見を主張するため、『攻撃タイプ』とも呼ばれます。物静かそうに見えても、無理に主張を押し通そうとする人は、アグレッシブに該当します。

自分の言いたいことを明確に伝えられる点は長所ですが、相手の立場や気持ちを考えない傾向があります。勝ち負けにこだわり、常にマウントを取ろうとするので、組織では厄介者と見なされるでしょう。自分の目的を達成するためならば、手段を選ばない人もいるようです。

■バランス型の「アサーティブ」

アサーティブは、ノン・アサーティブとアグレッシブの中間です。相手の意見を尊重しながら、自分の意見を率直に伝えられるのが特徴で、アサーションが身に付いているタイプといえるでしょう。

アサーティブタイプの人は、相手や場面に応じた適切な言葉を選び、周囲の空気を読みながら発言をします。相手と意見が対立した場合でも、お互いが納得できる落としどころを見つけられるでしょう。

コミュニケーションは双方の関係性の中で成り立つものです。自分はアサーティブだと思っていても、相手がそう思わなければ、アサーティブとはいえません。

「アサーション」が注目される理由

手を上げる人

(出典) pixta.jp

アサーションの概念が日本に流入したのは、1980年代頃ですが、近年になってアサーションが再び注目されています。その背景には、働き方の多様化やハラスメント対策の強化などがあります。

■働き方の多様化

働き方改革の推進や新型コロナウイルスのまん延をきっかけに、日本ではテレワークが急速に普及しました。近年は、デジタル化の進展や人々の価値観の変化もあり、働き方の多様化がさらに進みつつあります。

働き方の選択肢が増えると、対面で顔を合わせる機会が減るため、メンバーとの相互理解がこれまで以上に難しくなります。アサーションを身に付ければ、その場の空気感や相手の細かな表情を読み取るのが難しいオンライン上でも、円滑にコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

人材の多様性(ダイバーシティ)が進む現代において、個性の尊重につながるアサーションは、組織にとって不可欠といえます。

■ハラスメントの防止・抑制

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の施行により、ハラスメントの防止対策を強化する企業が増えました。アサーションを身に付けることは、ハラスメントの防止・抑制になり得ると考えられています。

例えば、部下にアドバイスをする際、アグレッシブタイプの人は、頭ごなしに否定したり、威圧的な態度を取ってしまったりするケースがあるでしょう。

アサーションを身に付ければ、自分の発した言葉がどのように受け取られるかを理解できるようになります。感情を抑えながら、より建設的な話し合いができるでしょう。相手からパワハラを受けやすい人は、アサーションによって自分の思いをきちんと伝えられるようになります。

「アサーション」のメリット3選

話しながら歩く二人

(出典) pixta.jp

多様化・複雑化する社会を生き抜く上では、コミュニケーションスキルが欠かせません。アサーションは、企業や個人にどのようなプラスの効果をもたらすのでしょうか?代表的なメリットを三つ紹介します。

■職場で良好な人間関係を築ける

一つ目のメリットは、職場の人間関係が大きく改善されることです。

自分の意見を言えない人は、相手の言いなりになるケースが多く、ストレスがたまりやすい傾向があります。威圧的な物言いの人は、相手に不快感を与えるため、職場では孤立しがちです。

アサーションを身に付けると、自分と他人の両方を思いやるコミュニケーションができるようになります。我慢したり、相手に我慢させたりすることが少なくなり、風通しの良い職場環境が実現するでしょう。良好なチームワークにより、生産性も向上します。

■取引先との交渉がスムーズになる

二つ目のメリットは、取引先やクライアントとの交渉がスムーズになることです。営業職の場合、自社の商品の良さを一方的に売り込んでも、相手の心は動かせません。アサーションが身に付いている人は、相手が抱える問題や悩みを丁寧にくみ取った上で、その人の立場に立った提案を行えます。

大口顧客に対しても過度に下手に出ることなく、対等な立場を維持できるでしょう。大幅な値引きや度を超えるサービスをうまく回避しながら、お互いが納得できる落としどころを見つけられるはずです。

■従業員エンゲージメントが向上する

アサーションが組織全体に浸透すれば、従業員エンゲージメントが向上する可能性があります。従業員エンゲージメントとは、企業に対する愛着や思い入れ、貢献の意思などのことです。

アサーションによって、職場の人間関係が改善されたり、自分の交渉スキルが向上したりすれば、従業員はこれまで以上に仕事にやりがいを感じます。コミュニケーションが活発化している組織では、一人一人が心理的安全性を確保しながら、生き生きと働けるでしょう。

結果的に、「この会社に就職して良かった」「会社にもっと貢献したい」というポジティブな感情を持つ従業員が多くなり、職場の定着率が向上します。

「アサーション」の具体的なトレーニング方法

勉強する人

(出典) pixta.jp

アサーションのスキルは、日々の継続的なトレーニングによって徐々に身に付いていくものです。すぐに実践できる、具体的な方法をチェックしましょう。トレーニングの効果を上げるための心構えについても解説します。

■身に付けるためのポイント

トレーニングを始める前に意識したいのが、思い込みの手放しです。思い込みが強いと、トレーニングをしても思うような効果を実感できないケースがあります。

例えば、ノン・アサーティブタイプの中には、『人に嫌われてはいけない』『自分の意見を言うのは自分勝手』という思い込みを持っている人が見受けられます。

思い込みをすぐに手放すのは難しいことですが、自分の中にある無意識の観念に気付くだけでも、変化がもたらされます。自分の気持ちを客観視するように心掛け、必要に応じて言語化するとよいでしょう。周囲の評価や結果を気にしすぎないことも重要です。

■主語を「私」にして気持ちを伝える

トレーニング方法の一つが、主語を『私(I)』にして気持ちを伝える『アイ・メッセージ』です。以下の二つの言い方を比べてみましょう。

  • (あなたは)なぜこんなに遅いのか!
  • (私は)もう少し早く仕上げてもらえると助かるのだが…

『あなた』を主語にすると、相手を責める口調になりがちです。自分の感情や主張を一方的に述べる形になり、相手の気持ちが考慮されていません。

主語を『私』にすると、主張がより柔らかい印象になります。相手に依頼する形になるため、言われた方も素直に要求を受け入れられるでしょう。したがって、主語を自分にして主張する癖を日頃から意識すると良いかもしれません。

■DESC(デスク)法にのっとって発言する

DESC法とは、アサーションを以下のプロセスに分解したものです。DESC法を活用することで、受け身にも攻撃的にもならず、自分の言いたいことを分かりやすく伝えられます。

  • Describe(描写する)
  • Express/Explain/Empathize(表現・説明・共感する)
  • Specify/Suggest(提案する)
  • Choose(選択する)

発言をする際は、最初に客観的な事実を伝えます。続いて、事実に対する自分の意見や相手への共感などを伝え、相手が望むような具体的な案を提示し、選択してもらいましょう。相手が選んだ選択肢によって、どのような対応をするかも考えておくことが大切です。

個人や組織を成長させる「アサーション」

ミーティングをするデスク

(出典) pixta.jp

どんなに能力が高い人材が集まる組織でも、チームワークや人間関係が良好でなければ、思うようなパフォーマンスは発揮されません。価値観や働き方が多様化している現代、アサーションの重要性はますます高まっているといえます。

アサーションを身に付ければ、ビジネスシーンはもちろん、プライベートでも良好な人間関係を構築できます。

まずは、自分の普段のコミュニケーションを振り返り、どのような特徴や癖があるのかをチェックしましょう。アサーショントレーニングを地道に続ければ、円滑なコミュニケーションのためのスキルが徐々に養われていきます。

構成/編集部

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