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2月の消費者物価指数は前年同月比で2.8%上昇、賃金と物価の好循環を生むのに必要なものは?

2024.04.12

総務省が2024年3月22日に発表した2月の消費者物価指数は106.5となり、昨年同月の103.6から2.8%の上昇となった(生鮮食品を除く)。

昨年同月比で価格が上昇した主な品目としては、調理カレー13.8%、フライドチキン(外食)19.2%、牛乳 9.3%、宿泊料33.3%、ペットフード(キャットフード)26.8%、洗濯用洗剤14.2%などがある。

これを受けて三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト・市川 雅浩氏によるリポートが到着したので、その概要をお伝えする。

国内物価の上昇はコロナの感染拡大やウクライナ情勢に起因

3月22日に発表された2月の消費者物価指数(CPI)では、生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が、前年同月比で2.8%上昇した。

政府による電気・ガス料金の負担軽減策開始から1年が経過し、1年前と比べた物価の押し下げ効果が薄れ、伸び率は4か月ぶりに拡大。

コアCPIは2021年以降、上昇基調をたどっているが、これは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や、ウクライナ情勢に起因したものと考えられる。

コロナの感染拡大により、生産や物流に制約が生じた一方、感染一服後はリベンジ消費が急拡大し、需要に供給が追いつかず、多くの国で物価が上昇した。

また、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、原油などエネルギー価格が高騰したことも、物価上昇に拍車をかけた。

エネルギーの8割以上を輸入している日本は、円安の進行も重なり、原油高が輸入物価を押し上げ(図表1)、企業物価に波及し、国内の物価上昇につながった(図表2)。

■期待で物価は上昇しなかったが、今はデフレ脱却の好機。ただ実質賃金はマイナスで消費は低調

なお、日銀の黒田東彦前総裁は、「中央銀行が物価安定に向けた強い意志を示すことが、人々の期待に働きかけ、金融政策の効果を高める」との考え方に基づき、2013年以降、10年にわたって異次元緩和を推進してきた。

しかしながら、結果的に「人々の期待」で2%の物価目標を達成することはできず、実際に物価を押し上げたのは、前述の通り、コロナの感染拡大やウクライナ情勢といった「外生的なショック」だった。

たとえきっかけが外生的なショックであっても、国内物価が明確な上昇基調をたどるようになったことは、日本経済にとってデフレ脱却の好機。

しかしながら、名目賃金の伸びが物価上昇に追いついておらず、4月8日に発表された2月の実質賃金は前年同月比1.3%減少し、23か月連続でマイナス、また、4月5日に発表された2月の実質消費支出(2人以上世帯)は前年同月比0.5%減少し、12か月連続でマイナスとなっている。

■今年の大幅な賃上げ見通しは好材料だが、賃上げ継続には労働生産性の持続的な上昇が必要

こうしたなか、国内では賃上げの機運が高まっており、2024年の平均賃上げ率は、2023年実績の3.58%を上回り、5%を超える見通しだ。

物価の伸びを上回る大幅な賃上げで、実質賃金と消費が増えれば、企業はサービス価格や製品価格に人件費を転嫁しやすくなり、国内物価の持続的・安定的な伸びが期待される。

これが日銀の重視する「物価から賃金、賃金から物価の双方向の好循環」だ。

ただ、実質賃金(時間あたり雇用者報酬)は、「労働生産性」に「労働分配率」をかけたものであるため、例えば労働生産性が上昇しないまま、実質賃金を引き上げようとすると、労働分配率の引き上げが必要となる。

しかしながら、この場合、資本分配率が低下し、企業は成長を維持できなくなってしまう。

したがって、賃上げの継続には、労働生産性の持続的な上昇が必要であり、これが賃金と物価の好循環が実現するための重要な要素と考える。

関連情報
http://www.smd-am.co.jp

構成/清水眞希

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