キッズ向けガジェット市場がにわかに盛り上がっている。
タブレットを使ったICT教育の普及に加え、共働き世帯が多い現代は、連絡や防犯の手段として子供にケータイやスマホを持たせる親も多い。
NTTドコモが運営するモバイル社会研究所の調査によると、2021年のキッズケータイ/スマートフォン(以下、スマホ)のデビュー年齢は平均8.09歳/10.63歳という結果。2019年~2021年まで3年連続で低年齢化しており、いずれも女子の方が男子よりも早くに持ち始める傾向だという。
そこで今回は、活気づくキッズ向けガジェットの最新動向を紹介。安全でユニークな最新機能が搭載された注目の機種をまとめた。
参照:スマホの持ち始めは年々低年齢化・10歳からスマホデビュー|モバイル社会研究所
最新機能搭載の人気キッズ向けガジェット
位置情報探知や利用制限など保護者に嬉しい安心機能に加えて、子供が使いたくなるユニークさを備えた人気商品がこちら。
(1)Hamic MIELS(はみっく みえるす)<キッズスマホ>
「Hamic MIELS」は、スマホデビュー世代の子供が使うことに特化したスマホ。リアル行動の見守りとデジタルでの見守り、どちらも保護者が「欲しい」と思う機能を一通り搭載している話題の機種だ。
画像出典:Hamic MIELS|PR TIMES
本品の1番の特徴は、端末の電池切れ後も作動するビーコン内蔵で一定時間は位置情報が探知できること。キッズスマホに欠かせないリアルタイムの位置情報検知の他、「MIELSシステム」という独自のネットワークを利用した位置情報探知が可能なため、いざというときにも安心だ。
また、防犯ブザー作動時には、GPS情報とともに20秒間の録音データを送信する機能を搭載。緊急時だけでなく誤作動かどうかの判断にも役立つ。あらかじめ学校や塾など子供がよく行くスポットを登録しておけば、到着時に保護者にプッシュ通知が届くお知らせ機能も使える。
インターネットコンテンツのフィルタリングやアプリのインストール制限、利用時間管理など、ネット犯罪やスマホの使い過ぎを回避する機能も追加料金なしで利用できる。
販売元はスタイリッシュでタフなスマホケースでお馴染み「iFace」シリーズを手がけるHamee社。デザインの良さやケースがカスタマイズできることで、おしゃれに持ちたい子供からの人気も高い。気軽にお試しできるシェアプラン(レンタル)もおすすめ。
本体価格:29,700円(税込)
月額利用料:1,100円(税込)※データ容量 1GB/月 + 各種みまもり機能付き
通話機能:〇
インターネット閲覧:〇
防犯ブザー:〇
位置情報探知:〇
利用制限設定:〇
カメラ:背面 1,300万画素/イン 800万画素
OS:Android 12
液晶サイズ:4インチ(540×1080)
重量:188.3g(iFaceケース含む)
内蔵メモリ:3GB
ストレージ:32GB
SDカード:〇(最大128GB)
(2)キッズケータイ コンパクト SK-41D<キッズケータイ>
「キッズケータイコンパクト SK-41D」は、NTTドコモから2024年夏以降に発売予定のキッズケータイだ。これまでにないスマートウォッチ風の外見が早くも話題になっている。
画像出典:キッズケータイ コンパクト SK-41D|PR TIMES
GPS位置情報確認、通話による連絡、メッセージのやり取り、緊急時のSOSボタンなど、キッズケータイの必須機能をコンパクトに搭載。通話やメッセージは登録した相手のみできる仕様で、ネット閲覧やアプリインストール、SNS閲覧などの機能は搭載されていない。
専用バンドの他、首から下げられるネックストラップやランドセルなど鞄につけられるフックストラップなど専用アクセサリーも展開している。防水規格(IPX5/X8)、防塵規格(IP6X)に対応しており、遊び盛りの子供でも安心の耐久性だ。
機能は最小限だが、スマホデビューより前の児童や小学校低学年の子供には丁度良いスペックだろう。日頃の連絡手段に重宝しそうな端末として、発売前から話題になっている。
本体価格:-
月額利用料:-
通話機能:〇
インターネット閲覧:×
防犯ブザー:〇(SOSボタン機能)
位置情報探知:〇
利用制限設定:-
カメラ:×
液晶サイズ:約1.6インチ/有機EL
重量:約39g
参照:キッズケータイ コンパクト SK-41D | NTTドコモ
(3)トーンモバイル+TONEファミリー<SIM+オプションサービス>
「トーンモバイル」は、手持ちのスマホ端末に挿すことで使える格安SIMサービスだ。AIシステムによって子供のトラブルを回避する「TONEファミリー」のオプションをつけることができる。
TONEファミリーは、有害な情報などから子供を守るスマホ機能として、東京都を含む1都8県市※より推奨認定されている。
※東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市
AIが写真を自動判定し、裸など不適切な写真をブロック→保護者へ通知する機能では、近年の児童性被害に多い「自画撮りの送信」を防止できる。ネットコンテンツやアプリインストール制限に加え、スマホ依存を防ぐ利用時間制限がアプリごと・曜日ごとなど細かく設定できるのも魅力だ。
GPSによる位置情報や、移動履歴もワンタップでチェックでき、特定のスポットへ到着した際の自動通知機能も搭載。物理的な安全を守る機能も充実している。
これらの見守り設定は変更も可能なので、子供の成長と共に「ゆるやかな見守り」に移行するのも良いだろう。保護者が使用していた旧端末にSIMだけ挿入して使うことができるため、お財布にも優しいのもメリットだ。
本体価格:-
月額利用料:1,100円+308円(TONEファミリーオプション)=1,408円(税込)※動画以外インターネット使い放題
通話機能:〇
インターネット閲覧:〇
防犯ブザー:×
位置情報探知:〇
利用制限設定:〇
カメラ:端末による
OS:端末による
液晶サイズ:端末による
重量:端末による
内蔵メモリ:端末による
ストレージ:端末による
SDカード:端末による
(4)Fire HD 10 キッズプロ(キッズタブレット)
「Fire HD 10 キッズプロ」は、6歳~12歳程度の小学生向けに開発されたAmazonのタブレット端末だ。2023年秋に日本でリリースされ、「好きを未来に ひろがる可能性」をテーマに、子供の自由な好奇心を伸ばす安全な学習ができるよう設計されている。
画像出典:Fire HD 10 キッズプロ|PR TIMES
プログラミングやゲーム、電子書籍などを含む数千点のキッズ向けデジタルコンテンツのサブスク「Amazon Kids+」が1年間無料で付帯するのは嬉しい特典。ネットコンテンツのアクセス制限や、使用状況のモニタリング、利用時間の設定も可能で、安全面も考慮されている。
キッズプロの対象年齢は6歳以上だが、ハードウェアは「Fire HD 10」と共通のため、プロフィールを切り替えれば保護者と共有で使うこともできる。エンタメ目的のみならず、タブレット学習の一環として子供に持たせたいという声が多い話題の端末だ。
本体価格:23,980円(税込)
月額利用料:Amazon Kids+が1年間無料 ※2年目以降は月額980円(Amazon Prime会員480円)
通話機能:〇
インターネット閲覧:〇
防犯ブザー:×
位置情報探知:wifi経由の位置情報サービス
利用制限設定:〇
カメラ:フロント 500万画素/リアカメラ/1080pのフルHDビデオ録画
OS:FireOS
液晶サイズ:10.1インチ1080pフルHD(1920×1200)/230万画素
重量:約659g
内蔵メモリ:3GB
ストレージ:32GB(使用可能領域24GB)
SDカード:〇(最大1TB)
出典:Amazon Fire HD 10 キッズプロ|Amazon
キッズ向けガジェットは今後も注目の市場
文部科学省が発表している「端末利活用状況等の実態調査」結果によると、2021年7月末時点で全国の公立小学校の96.2%、中学校の96.5%が、全学年または1部の学年で端末(※)の活利活用をしているという。
※可動式端末(タブレット型・ノート型)に限定
一昔前なら、子供が小さいうちはデジタル機器を与えるのではなく、外で遊んだり身体を動かしてほしいという声が主流だったように思う。ところが、プログラミングやICT教育が普及し、共働き世帯が増えた今は風向きが変わってきた。
学習のためのタブレット以外にも、家族間のコミュニケーション手段や防犯のために、子供専用のスマホやケータイを持たせる保護者は多い。キッズ向けガジェットの機能や便利さはニーズに応じてますます進化するだろう。
※商品の情報はすべて2024年4月の執筆時のものです
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.