3/30 TSUTAYA BOOKSTORE 常総ICで行われた『本とねこ時々わんこ譲渡会』へ潜入
今回はそんなネコスペ事務局が開催する、『本とねこ時々わんこ譲渡会』へ潜入した。ここからは、当日の会場レポートと併せてネコスペ事務局代表の大塚さんに伺ったお話を紹介しよう。
開催場所になったのは、圏央道の常総ICすぐにできた大型複合施設・アグリサイエンスバレー常総の一角、テレビでも話題のスポット『道の駅 常総』に隣接する『TSUTAYA BOOKSTORE 常総IC』のイベントスペースだ。
TSUTAYA BOOKSTORE 常総ICはウッディな外観&内装がおしゃれなライフスタイル提案型の本屋で、本以外にも文具や食器、インテリア、食品など様々なアイテムが陳列されている。県内外に精通する立地の良さもさながら、スターバックスコーヒーやキッズスペースなども構えたファミリー向けのTSUTAYAとあって、集客力はバツグンといえる。
この日の参加は猫13頭、犬3頭。猫チームはみんなケージに入った状態でのお披露目だ。
ニャーニャーと元気に鳴いている子もいればそっぽを向いてじっとしている子、キョトンとした顔でニンゲンを見つめ返している子などがいて、各々個性と愛嬌を振りまいていた。
半屋外のイベントスペースは人通りの多い場所にあり、外から見ていてもかなり目についた。ひっきりなしにお客さんが訪れ、混雑時は入場まで待っている方もいるほどだった。
マルシェコーナーには猫モチーフの人間用小物から猫用おもちゃまで、オリジナルアイテムが並ぶ。思わず手をのばす猫好きのお客さんも多く、譲渡会場と同様に人だかりができる場面もあった。
2時間という開催時間のなか、猫犬合わせて43組が来場。そのうち猫5件、犬1件に里親希望の申し込みがあり、まずまずの良い結果だったという。
――初めての会場での開催はいかがでしたか?
(大塚さん)真剣に猫や犬を迎えることを目的に来場してくださった方が多くて、良い譲渡会になったと思います。人目につくオープンスペースだからこそできる啓発や周知活動があるので、今回のような会場で開催できたことは本当にありがたいです。
まずはこういったイベントをきっかけに、譲渡会の存在を知らなかった人に知ってもらうことが大切だと思っています。お店やブリーダーさんだけでなく、保護猫や保護犬を迎えることも選択肢の1つとして加えてもらえたら嬉しいです。
――現在のご活動は茨城県内が中心ですか?
(大塚さん)茨城県つくば市とひたちなか市が拠点なので、茨城県で活動していることが多いです。ただ、基本的に個人ボランティアさんからのご相談で動く形なので、要請があればどこでも行く感じではあります(笑)
過去には福岡、東京、千葉、埼玉などで譲渡会や保護猫イベントを開催したこともあります。
――譲渡会&マルシェという形をとっているのはなぜですか?
(大塚さん)譲渡会だと基本は飼いたい人しか来てくれませんが、マルシェ(物販)ならそうじゃなくても来てもらえるからです。
TNRや保護活動の資金調達という目的もありますが、譲渡会とマルシェを同時に開催することで人を誘致して、保護活動を色々な人に知ってもらいたいという思いがあります。
――大塚さんが保護猫活動をはじめたきっかけを教えてください。
(大塚さん)2016年に持ち家に引っ越し、大叔母の家で生まれた子猫を保護したのがきっかけです。実家の隣に住んでいた大叔母はいわゆる「無責任餌やり」といわれる存在で、ノラ猫に餌だけあげて闇雲に増やしている人でした。
そのときに利用した『ネコジルシ』という里親募集サイトを通じて保護活動者と交流を持つようになり、外猫の過酷な現状と、個人ボランティアさんたちの苦労や苦悩を知りました。
「私にも何かお手伝いできないだろうか?保護はできないけれど、保護活動に協力したい」と思ったのが、2018年のことです。ネコジルシで知り合ったハンドメイド作家の猫友と一緒に群馬県高崎市で『チャリティねこマルシェ&保護猫譲渡会』を企画し、イベントの収益で野良猫のTNR集団手術を実施しました。
この一連の活動を “保護しない保護活動” と名付け、忙しく動き回っている保護活動者に代わって譲渡会運営や広報活動をサポートする活動をはじめました。
――基本的に運営はお1人で行っているんですか?
(大塚さん)2020年に初めて茨城で譲渡会を開催したときは私1人ではじめた運営も、お手伝いをしてくれるボランティア仲間が少しずつ増え、現在は10名程になりました。猫を連れて来てくれる保護猫ボランティアさんを合わせると30名程います。
企画や準備は基本私1人で、ポスターやPOP作成、受付からクロージングまで行います。申込みがあった猫の譲渡に関してはそれぞれ保護主さんにバトンタッチします。
会場探しについては、飛び込み営業が基本です!電話やメールだと相手にしてもらえないことも多いので、モデルハウスやイベントスペース、ショールームなどに企画書を持ち込みプレゼンします。勝率は3割くらいでしょうか(笑)
場所決めが最大の難関で、場所さえ決まってしまえばあっという間に参加猫が決まります。参加ボランティアから保護猫のプロフィールをもらい、開催1週間前にはホームページ・ブログで参加猫の紹介をします。事前に参加猫の情報を掲載すると、申込率がかなりあがります。
ネコスペを信じて託してくださるお金を1円たりとも無駄にしたくないので、昨年5月に法人格を取得しました。これからもみなさんの期待に添えられるようさらに襟を正して活動していきたいです。
――保護猫ボランティアさんのお手伝いをするなかで特に印象に残っている言葉や出来事はありますか?
(大塚さん)猫ボラさんから「良い里親さんに繋げられたよ、ありがとう!」と言ってもらえることですかね。
また、ハンドメイド作品を寄付してくださる作家さんたちからも「チャリティに参加させてくれてありがとう!」と感謝されることです。手間とお金をかけて作り上げた我が子のような作品を無償で提供してくれるのだから、感謝すべきは私たちのほうなのに…
みなさん、自分の得意なことで保護活動の一助になれることが嬉しいとおっしゃってくださいます。リピートで作品を提供くださる作家さんも多いです。
活動資金になることももちろん嬉しいのですが、ハンドメイド作品を作ったり、売ったり、買ったりして応援してくれる人たちがいる、ということが私も含めボランティアの心の支えになっています。
――保護猫活動に少しでも関心がある人に向けてメッセージをお願いします。
(大塚さん)ボランティアは報酬がない活動というだけで、必要経費まで自己負担するものではないと思っています。それなのに、医療費をはじめとする経費のほとんどが自腹の活動です。寄付を募ることもありますが、真面目でがむしゃらに取り組んでいる人ほど、資金集めが苦手な方が多いです。
支援先はネコスペではなくてもいいので、そんな風に身近でがんばっているボランティアさんを助けてあげてほしいです。ただ、愛護団体(個人)の活動は玉石混淆なので、ご自身の目でしっかりと見極めて信頼できる保護活動者をサポートしてほしいですね。
猫のために何かしたいと思っていても、外の猫を保護することはハードルが高いです。私もそうでした。
でも、保護や譲渡をすること以外にも、病院搬送、写真撮影、情報拡散など、お手伝いできることはたくさんあります。 そういった“保護しない保護活動” にチャレンジしてもらえたら嬉しいです。