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「及第点」という言葉を見聞きしたことはあるだろうか。及第点はかろうじて合格点に達していることを指す言葉で、使い方に注意すべき点も多い表現だ。
本記事では、及第点の詳しい意味や由来、会話で使う際の注意点を解説する。及第点の言い換え表現も紹介するので、目上の人やビジネスシーンで相手に失礼のない表現方法を選べるようにしてほしい。
及第点とは
及第点を耳にしたことはあるものの、自ら会話で使ったことはない方も多いだろう。まずは及第点の基本的な意味や言い換え表現を確認し、いざという時に使用できるようにしておこう。
■及第点の意味
及第点の読み方は「きゅうだいてん」で、基準となる点数をかろうじて満たして合格していることを指す言葉。「及第」は試験に合格することや基準に到達していることを表す言葉で、及第点は合格に必要な点数といった意味になる。
基準となる点数に「ギリギリで達している」ニュアンスが強いため、「最低限の成果」というマイナスのイメージが含まれる。相手を高く評価する意味では使いづらい表現なので注意しよう。
■及第点の由来
及第点は中国語に由来する言葉。中国語では「及」は「届く」、「第」は「大きな屋敷」を意味する。「及第」は「大きな屋敷で働くに至る」といったニュアンスを表し、及第点は合格に必要な点数を表す言葉として使われるようになった。
また、古い時代の中国においては及第が「科挙に合格する」意味で使われていた。科挙は極めて難易度の高い官吏の登用試験で、科挙に合格することは官吏としての地位や名声を手にすることを意味した。「大きな屋敷で働くに至る」旨の言葉が使われるに相応しい背景といえるだろう。
■及第点の言い換え表現
及第点の言い換え表現としては、「そこそこ」「まあまあ」「なかなか」「ほどほど」といった表現が挙げられる。「そこそこの結果」のように他の言葉と組み合わせて使うのが一般的。「悪くない」「ある程度」なども類語として便利だろう。
【例文】
「初心者にしてはそこそこの成果を上げた」
■及第点の英語表現
及第点の英語表現としては“passing mark”“passing grade”が挙げられる。“passing”は「合格」、“mark”は「点」、“grade”は「成績、評価」とそれぞれ和訳される。
両者を訳すと「合格点」「合格評価」となり、及第点に近いニュアンスで使えるはずだ。「ギリギリ」のニュアンスを強めたい場合には、「かろうじて、なんとか」と訳される“barely”を使うのも良いだろう。
【例文】
I barely got a passing grade.(私はかろうじて合格点を取った)
■及第点を使った例文
及第点を使った会話の例としては、以下のようなものが挙げられる。基本的にマイナスのニュアンスが含まれる点に注目してチェックしてほしい。
【例文】
「100点満点の試験で60点は及第点といったところだろう」
「及第点で満足することなく、圧倒的な結果を求めてほしい」
「彼の頑張りは認めるが、まだまだ及第点を脱していない」
及第点を使う際の注意点
ここからは、及第点を使う際の注意点を紹介する。会話で使う際には、以下の点に注意して使ってほしい。
■及第点と合格点との違い
及第点と合格点はどちらも合格していることを意味するが、どのくらい余裕を持って合格しているかに違いがある。及第点がギリギリ合格しているのに対し、合格点は余裕を持って合格しているニュアンスが強い。褒めたり祝ったりする際には、及第点よりも合格点を使って言葉をかけるべきだろう。
■及第点にはマイナスの意味も含まれる
及第点は合格しているものの、マイナスのニュアンスも強めな点に注意。「合格だけどギリギリだね」といった皮肉に捉えられたり、上から目線で認めているように映ってしまう可能性もある。目上の相手や関係性が築けていない相手への使用は控えた方が良いだろう。
及第点の対義語
ここからは、及第点の対義語を紹介する。対義語のボキャブラリーも備えて、会話の発展に役立ててほしい。
■落第
落第は基準の点数に達しなかった状況を指す言葉。不合格や卒業・進級ができない状況を指すこともあり、及第点に至らなかった結果を表す言葉としても使用できる。
【例文】
「落第を覚悟していたが、かろうじて及第点を取ることができた」
■不合格
不合格は試験や検査で合格できなかった状況を指す言葉。落第と同じく及第点に至らない結果を示すが、少々直接的な表現なので相手の気持ちを考えて使うべきだ。
【例文】
「及第点にも及ばず、残念ながら不合格になった」
■赤点
赤点は不合格となる点数を表す言葉で、不合格や落第と同義。成績表に記す際に赤い色で表記することから、赤点と呼ばれるようになった。
【例文】
「赤点を取った者は放課後の補習に必ず出るように」
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部