エンタメに大きな転換期が訪れる
「通常の舞台演劇であれば台本は1冊でいいのですが、イマーシブシアターでは別々の場所で、エンターテイナーがそれぞれの芝居をしています。つまり出来事の数だけ台本が必要になり、実際、『ザ・シャーロック』では30冊近くの台本が存在します。プロットは僕が書いているのですが、本当に大変で、最終的に3人がかりで台本を書き上げました。出演するエンターテイナーもゲストから360度くまなく見られるので、常にそのキャラクターらしい行動が求められます。時にはゲストをうまく誘導していくような行動もあるので、かなり高度な表現力も必要です。現在、エンターテイナーは200〜300人。その中にはシンガーやアクター、ミュージックプレーヤーなど、様々なメンバーがいます」
制作が大変である分、ゲストの感情を揺さぶる唯一無二の体験を提供できるのだろう。イマーシブ体験は今後のテーマパークにどのような影響を与えるのか?
「イマーシブシアターの物語に身を投じてみた時に、その心地よさやおもしろさ、中毒性などに気づいていただけると思っています。より多くの人に体験していただくことで、チャンスは大きく広がります。今回、テーマパークのようにアトラクションを集めたことで、『イマーシブ・フォート東京』の開業以降は、東京が世界を先行するイマーシブ体験スポットになると確信しています。今、様々なテーマパークが没入感のあるアトラクションを作りたいと考えているので、今後、エンタメに大きな転換期が訪れるのではないかと考えます。イマーシブシアターは商業施設のような、ある程度のスペースがあれば展開できるので、可能性は無限にありますね」
株式会社 刀
シニア・クリエイティブ・ディレクター
津野庄一郎さん
独自の演出手法や技術で、消費者心理を鋭く捉えた感情を揺さぶるエンタメを創出。イマーシブシアターの先駆け、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン『ホテル・アルバート』の制作総指揮も務めた。
街で突然、マフィアとスパイエージェントの戦闘が始まる『スパイ・アクション!』の一幕。観客だったはずが巻き込まれ、人質になってしまう場合も。
『イマーシブ・フォート東京』はココがスゴイ!
【1】ゲストの心理と感情を揺さぶる綿密な演出
10分程度のカジュアルなものから1時間を超える体験を通し、深い没入感が得られるものまで、様々なアトラクションやショーを用意。巧みに工夫された演出で初めてでも没入しやすい。
【2】イマーシブ体験のみで構成されたテーマパーク
イマーシブシアター自体がまだまだ珍しい中、イマーシブ体験できるアトラクションのみで構成されたテーマパークは世界でも初。アトラクションの数は12にも上る。
【3】閉館した『ヴィーナスフォート』の跡地を再利用
閉館施設跡を活用し、中世ヨーロッパの美しい街並み、青空や夕焼けなどの天井演出はそのままに、新たなテーマパークを造り上げた。大規模開発を必要としない持続可能な開発としても注目だ。
取材・文/綿谷禎子 撮影/松永直子 コンテンツ画像提供/イマーシブ・フォート東京
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