職人が手作業で補修
Chacoサンダルは1989年、アメリカでラフティングガイドをしていたマーク・ベイジェンが靴職人だった経験をいかして創設したサンダルブランドで、創業当初から〝足の健康〟と〝できるだけゴミとして廃棄されるまでの時間を延ばす〟ことを考えて開発している。
修理工程をのぞき見すると、そんなChacoサンダルの知恵が詰まっていた。
(1)日本から年に1度、まとめてアメリカの本社工場へ届けられたサンダルは、本体の不具合やアウトソールのすり減り具合など修理するところ以外もチェック。
(2)1足ずつ下から熱を加えて接着剤をゆるめ、アウトソールをきれいに剥がし取る。熱を加えるとサンダルが溶けそうに思えるが、Chaco本社によると、ポリウレタン素材のため熱に強いのだとか。
町中のリペアショップで補修した場合、接着剤や新しく貼ったソールに何が使われているのか不明できれいに剥ぎ取れず、本体を傷める危険もある。
「Rechaco」で補修したもの以外を受け付けないのはこのため。
(3)分解後、わずかに残った接着剤や汚れを削り取り、接着しやすいよう研磨。いびつな減りがあれば、この段階で調整しておくとも。
(4)きれいになったアウトソールと本体に特殊溶液、接着剤を塗って乾かしてからウェビング交換に取りかかる。
(5)アウトソールを貼る前に希望のウェビング(在庫次第で第二希望になることもある)を通しておく。指にあたる部分などの縫製にもこだわりがあり、力がかかってもほつれにくいようにしているとか。
また、ソールを貼り合わせた後に最終縫製を行うが、くるぶし部分のウェビングは、痛くならないよう内側を研磨するのだという。
だからChacoサンダルははじめて履いた日から快適。
(6)ふたたびオーブンで加熱してから、約250kgの力でプレス。この次点ではアウトソールがはみ出ているが、これで正解。
(7)アウトソールのはみ出し部分を切り取るトリミング。何回かに分けて切ると仕上がりがガタガタに角張るので滑らかに1周させて切る。職人の腕が問われる一番難しい工程だ。
(8)最終縫製、クリーニング、チェックを受けて終了。
7月までに日本に届き、ユーザーのもとに返送される予定だ。
Chacoサンダルに採用しているフットベッドは、足の健康を考えるドイツ人医師と共同開発しており、着用し続けることで健康維持や足の病気予防に繋がるとアメリカ足病医学協会のAPMA認定証を受けている。そう聞けばヘビロテ必至で、その分くたびれてしまうスピードも速い。
「Rechaco」の2024年受付締切は5月7日到着分まで。
次回は2025年4〜6月頃となるので、Chacoユーザーは今すぐ状態を確認して夏を迎える準備をしておこう。
【問】A&F
取材・文/大森弘恵