新毛より3倍以上清潔だって本当?
ところで回収後、どうやってダウンを再生しているのだろう?
たとえばダウンジャケットと言っても、ダウン率が70%のものも90%のものもある。
それだけじゃない。品質の目安となる「フィルパワー」の差、採取したのはダックかグースかという違いもある。
ごちゃごちゃのまま羽毛を再生しているようなら、リサイクルダウンの質は均一じゃないのでは?
グリーンダウンプロジェクトによると「回収時にダウン比率や羽毛の種類などを確認して分別してから、解体、洗浄しているのでご安心を」。
そもそも羽毛は同じ農場で飼育された水鳥であっても、毎年同じ品質になることはない。
グリーンダウンプロジェクトに名を連ねる「河田フェザー」では、新毛の場合でも、産地や種類が同じ羽毛を2種類以上ブレンドして均一にしているそう。
リサイクルダウンの場合は、トレースが取れずに新毛に比べてより品質のばらつきが出やすいため、洗浄ロットごとに一度ブレンドし、品質検査後に再度ブレンドを行うことで品質を一定に保っているという。
製品から取り出された羽毛は微細なホコリを機械で取り除き(除塵)、植物由来のせっけんとミネラルが極めて少ない超軟水(硬度3〜5程度!)を用いて洗浄、乾燥する。
この過程は新毛と同じ。つまりリサイクルダウンは洗浄も除塵も2回行われているのだ。
1度目の洗浄時に羽毛のアカやホコリが残っている場合、製品として使っていうちに羽毛同士がこすれて目に見えないわずかな油脂やホコリがポロポロ剥離する。
回収した羽毛は使用時に付着した汗汚れと同時に、新毛時に取りきれなかった目に見えない汚れをも落とす。これが「新毛よりもきれい」な理由。
JIS基準の清浄度はダウン率80%で1000mm以上なのに対し、グリーンダウンでは3000mm以上を基準としているというから、そのクリーン具合がわかるだろう。
グリーンダウンプロジェクトによると、2014年の羽毛回収は5000kgだが年々増加し、9年後の2022年は8万6000kgに。
このうち、実際に再生され、グリーンダウンという名で取引されたのは、2015年で5800kg。波があるものの2023年には7万7000kgに達しており大半が生まれ変わっているようだ。
ダウンジャケットや寝袋は生地の劣化とともに使えなくなるが、中の羽毛は100年以上、繰り返し利用できると言われている。しかもリサイクルすればするほどきれいになる!
残念ながら独自で回収プログラムを持つブランドはわずかしかない。
衣替えを機に、古いダウン製品をグリーンダウンプロジェクト協力店に託してみてはどうだろう。
取材・文/大森弘恵