春は出会いとともに別れの季節でもある。卒業、退任、異動などにより、去る3月には、今まで付き合いのあった友達、先輩、同僚と離ればなれになってしまった人も多いはず。
そんな相手に贈る寄せ書きを、みんなでオンライン投稿し、1冊の本にまとめられるサービスがあることをご存じだろうか? コロナ禍により「人が集まって寄せ書きすることができない」「対面で渡しにくい」などの理由から注目度が高まり、現在はいくつかのサービスが存在している。
2024年2月に始まったばかりの新サービス『RETTEL』(レッテル)もそのひとつ。1人当たり、ひとつ見開き(=2ページ)が割り当てられ、片ページには似顔絵アバター、片ページには最大300文字のメッセージが掲載される。参加メンバーが登録する似顔絵アバターとメッセージがひとつにまとまり、世界に1冊しかない、特別なレターギフトになるというわけだ。
「65歳を迎え、3月いっぱいで教師生活にひと区切りを付けることになった、恩師へのギフトにピッタリなのでは!?」との思いから、筆者は『RETTEL』を試してみることにした。
豊富なカスタムパーツで本人そっくりの〝似顔絵アバター〟が作れる!
『RETTEL』(レッテル)に興味を抱いた理由は大きく3つある。
1つ目は、各自がオンラインで好きなタイミングにメッセージを書けること。
2つ目は、ひとり当たり最大300文字のメッセージを入力できること。
3つ目は、似顔絵アバターが作れること。
中でも「似顔絵アバターが作れる」という点がユニークで、贈る相手の顔はもちろん、メッセージを贈る参加メンバー全員が、各自で似顔絵アバターを作り、メッセージの対向ページに掲載することができるのだ。
2024年4月1日時点で、似顔絵アバターのタイプは、作家が異なる2種類から選べるようになっている。筆者は、恩師の顔を再現しやすそうな、中川貴雄さんのコミカルな絵柄を選択した。
似顔絵アバターを作る最初の一歩は「大人」もしくは「子ども」のいずれかを選択。肌の色は6種類の中から選ぶ。
髪型はスキンヘッド1種類を含む計165種類があり、ショートからロングまでバラエティーは豊か。しかも、頭髪の色は12種類から選択でき(スキンヘッドは1色のみ)、自分に限りなく近いヘアスタイルをカスタマイズできるようになっている。19種類の帽子(色は各8色選べる)まで用意されている。
ほかにもカスタマイズできる似顔絵アバターのメニューが盛りだくさん!
・目は88種類×8色(計704種類)
・眉毛は27種類×7色(計189種類)
・メガネは50種類
・鼻は18種類
・唇は14種類×6色(計84種類)
・ヒゲは45種類×8色(計360種類)
・額のシワは2種類
・目元のシワは2種類
・頬のシワは2種類
・口元のシワは2種類
・そばかすは3種類
・口元の青ヒゲは1種類
ホクロの大きさは3種類で配置できるのは、小が45か所、中が45か所、大が16か所。学生服、スポーツウェア、セーター、下着、スーツ、Yシャツをはじめ、服は36着あり、選べる色は多いもので13色。全269種類の中から選べるようになっている。
ちなみに、髪型×目×眉毛×鼻×唇×服のカスタマイズできる種類を数えただけでも、なんと106兆5575億5591万2192通り!
※カスタマイズできる種類の数は2024年4月1日時点のもの
筆者が作った恩師の似顔絵アバターは以下のとおり。カスタマイズできる種類が多いことから、ご本人の顔に、だいぶ近づけられたことがわかるだろう。
髪型や目などの〝パーツ〟は、作家がすべてひとつひとつ手描きしたもの。なので、出来上がる似顔絵アバターは、まるで自分の似顔絵を描き下ろしてもらったような印象だ。なお、出来上がった似顔絵アバターは、各自でPCやスマホに保存でき、SNSのアイコンとして利用できるのもポイント。幹事メンバーのひとりは、早速自分のLINEのアイコンに設定していた。
登録内容の修正や掲載順の並び替えは幹事専用ページで行なえる
幹事専用ページでは、参加メンバーが登録した件数と内容をチェックできるほか、登録情報の変更なども可能だ。参加メンバーの数に応じて設定される金額もチェックできる。
今回、新姓だけで登録した卒業生がいたので、学生時代の旧姓を追加で入力。恩師に認識してもらいやすくすることができた。幹事専用ページはスマホのブラウザーでも利用できるので、登録状況をチェックするのにも手間取らない。
注文から到着までは最短約10日となっており、設定した「メッセージの締め切り期限」に基づく「発送予定」の目安が常に表示される。登録状況が芳しくなければ「メッセージの締め切り期限」を幹事専用ページで変更することはできるが、その分「発送予定」の日が先になるので、プレゼントしたいタイミングを鑑みて、検討したほうがいいだろう。
なお、登録された順番はそのまま、1冊の本になった時の掲載順になる。幹事専用ページでは、並び替え機能が付いているので、1冊になった時のことを考慮し、適宜、順番を入れ替えるようにしよう。
並び替えの機能では「↓」「↑」のアイコンをクリック or タップして、一項目ずつ移動させる仕組み。そのため、今回の参加してもらった100人分を、例えば「あいうえお順」に並び替えるのは、やや煩わしく感じた。参加メンバーが大人数で、なおかつページの掲載順にこだわりたいなら、登録してもらう順番を、あらかじめ大まかに決めておくといいかもしれない。
100人参加で、ひとり当たりの金額は204円比較的参加しやすい良心的な料金設定
今回は参加メンバーが100人で、1冊の価格は1万8150円。電子データ版(2200円)を加えたトータル金額は2万350円になった。ひとり当たりの金額は204円。気軽に参加できる料金設定はありがたい。
注文して数日後、登録したメールアドレスに発送通知が届き、その翌日は丁寧な梱包で現物が到着!
今回注文した100名分の場合は、厚みが26mm(カバー込み)、横幅155mm、高さ218mm。A4よりもひと回りほど小さく、気軽に持ち運べるサイズ感だ。
似顔絵アバターとメッセージが記載されたページの用紙は、適度なコシがあってめくりやすい。手触りが心地いいカバーも相まって、上質な卒業アルバムのようだ。
巻頭には、贈る相手の似顔絵アバターとともに、参加メンバーの一覧が印刷される(名前の一覧は最大90人まで。それ以上は「and more」として割愛される)
プレゼントされた恩師の喜びもひとしお!大切な相手に贈る新しいギフトのカタチ
3月某日、都内で行なった恩師の〝引退セレモニー〟で、出来上がったものを贈呈。一般的な寄せ書きとは異なる卒業アルバムのような装丁に、プレゼントされた瞬間は「これはなんだろう?」という素振りだったものの、中身を見ると、顔の表情がパッと明るくなった。
ひとりひとりの似顔絵アバターとともに、それぞれのメッセージがたっぷりと書かれた中身は想像以上だったようだ。
「いや〜、これはすごい。今日来られなかった●●からのメッセージもあるし。あとでじっくりと読ませてもらいます。本当にありがとう!」(恩師)
1冊にまとまったメッセージを見ると、文字数制限のギリギリまで思いの丈を綴るものから、短いメッセージに思いを込めたものまで、実に様々。似顔絵アバターと同様、個性にあふれていた。参加メンバーそれぞれの個性が、ひとつの見開きの中で表現できるからこそ、ひとりひとりの思いが受け取り手に伝わりやすいのではないだろうか。
贈る相手がうれしいのはもちろん、参加メンバー全員が似顔絵アバターづくりも楽しめる『RETTEL』。春だけに限らず訪れる職場での送別会や、友人の結婚式をはじめとする特別なイベントがある際には、参加メンバーそれぞれが自分らしいメッセージを贈ることができる『RETTEL』の利用を、検討してみてはいかがだろうか。
『RETTEL』
rettel-tokyo.com/
www.instagram.com/rettel_tokyo/
取材・文・撮影/田尻健二郎