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なぜ、ビールブランドのハイネケンがeスポーツの大会を主催しているのか?

2024.04.08

4月4日、ハイネケンが主催するeスポーツ大会「Player 0.0」の国内大会「Japanese Player 0.0 Final」が開催された。競技タイトルはF1公式ゲーム『EA SPORTS™ F1 23』。

本大会の優勝者には、日本代表として今年12月に開催される世界大会「Player 0.0 International Final 2024」への出場権が与えられる。世界大会には20か国以上で開催されるローカル大会の優勝者と、過去3度F1ワールドチャンピオンに輝いているマックス・フェルスタッペン選手が参加する予定となっている。

ハイネケンがeスポーツ大会を主催するのは初めての試みだ。また、ビールメーカーがeスポーツ大会を開催すること自体も珍しい。

アルコール飲料は判断力を低下させる。瞬発的そして的確な判断、緻密な操作が要求されるeスポーツにおいて、アルコール飲料との親和性は感じられない。

ハイネケンの発表から、その理由を迫っていく。

4月4日、「Japanese Player 0.0 Final」のメディア発表会にはF1好きで知られるマギーさんも登壇した

世界で最も売れているノンアルコールビール「ハイネケンゼロゼロ」

140年以上の歴史を持ちアムステルダムに本社を置くハイネケンは、世界で最もインターナショナルなビールメーカーの一つである。

ハイネケンは348のブランド持っているが、中でも1873年に誕生したハイネケンの象徴でもある「ハイネケンオリジナル」は190か国以上で展開し、日本人にも愛されているビールである。

ハイネケンのブランドの中でも今注目なのが「ハイネケンゼロゼロ」だ。世界114か国で販売されており、日本でも2023年10月にローンチしている。「ハイネケンゼロゼロ」は世界で最も売れているノンアルコールビールでもある。

多くのブランドを抱えるハイネケンの2023年の世界販売量は563万キロリットル。日本国内の1年間の全体ビール消費量は366万キロリットル、ハイネケンがいかに国際的なビールブランドとして確立されているかが分かる。

ハイネケンの完全子会社として昨年設立されたハイネケン・ジャパンとしては2025年までの日本国内のノンアルコールビール市場の5%まで拡大することを目指している。

日本では2023年10月に発売。日本のノンアルビール市場を狙う

レースゲームでもノンアルを推奨?

ノンアルコールビールのシェア拡大と同じく、ハイネケンが力を入れているのが「適正飲酒啓蒙活動」だ。「When You Drive, Never Drink(お酒を飲む日は、乗らない日)」という飲酒運転撲滅キャンペーンもその一つ。ハイネケンではこうした啓蒙活動に年間広告費の1割以上も投じている。

「Player 0.0」はこうした啓蒙活動の一環として、ハイネケンが主催するeスポーツ大会である。ハイネケン・ジャパンのブランドマネージャー・森下さんは次のように言う。

「我々はお酒を販売する企業として、社会的責任として適正飲酒を訴える必要があると考えています。私たちが考えるベストドライバーとはただ速いだけではなく、最も安全に走る人、そう考えます。

私たちは『Player 0.0』のキャンペーン、エンターテインメントを通じて適正飲酒、そして飲酒運転撲滅に貢献していきたいと考えています」

実生活にだけでなく、eスポーツにおいても飲酒運転をせずに常に安全運転を心がけてほしい。「Player 0.0」が取り組むeスポーツとノンアルコールビールの掛け合わせは、その思いから生まれているのであろう。

また、同社は拡大するeスポーツ市場を通じた若年層へのノンアルコールビールのカルチャーの拡大にも期待を寄せている。

「eスポーツはハイネケンにとっても新しいチャレンジにもなります。eスポーツ市場を世界レベルで見ると、全世界で若い人を中心に爆発的に成長しています。

日本市場でもeスポーツファン層は770万人強と言われており、毎年その人口は増えている。野球やサッカーといったスポーツと比べてしまうとまだ決して大きいとは言えませんが、今後日本でも確実に成長するマーケットと捉えています。

ハイネケンは若い世代に支持されるビールブランドというブランドポジションを確立するためにeスポーツ×ブランド体験の場をこれからも開発していきたい」(森下さん)

「若年層に支持」という共通点?

老舗ビールメーカーでありながら、ハイネケンは若年層の人気が高いブランドである。同社が調べたブランドパワーでは、20~35歳のブランドパワースコアは全世代のスコアよりも64%高く、なんとハイネケンの飲用者の37%が20~30代だという。

若年層に支持されるハイネケンと、若年層に人気のあるeスポーツの相性はよさそうに思える。そこにeスポーツと相性にいいノンアルコールビール(少なくともアルコール飲料よりも)。だからこそハイネケンはノンアルコールビール市場世界ナンバーワンの売上の「ハイネケンゼロゼロ」を武器に、新たな市場へのチャレンジを開始したのだろう。

「Player 0.0」だけでなく、ハイネケンは昨年、FPSゲーム『VALORANT』の北米リーグ「VALORANT Champions Tour Americas」ともスポンサー契約を締結している。

ノンアルコールビール、そしてハイネケンがeスポーツ界隈に受け入れられるのか、これからに注目しいところである。

取材・文/峯亮佑

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