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アプリを通じて蓄尿量がわかる膀胱デバイスを開発、ノースウェスタン大学研究報告

2024.04.09

アプリを通じて蓄尿量が分かる膀胱デバイスを開発

疾患に関連した尿失禁に悩まされている人の中には、帰宅するまでトイレに行くのを我慢できるのか、それとも今すぐトイレに行くべきなのかの判断が難しい人もいる。そのような人に役立つデバイスとスマートフォン(以下、スマホ)のアプリ開発に関する研究成果が報告された。

膀胱用のインプラントデバイスとスマホのアプリにより、膀胱内の蓄尿量をリアルタイムで追跡できるのだという。米ノースウェスタン大学生体医工学分野のGuillermo Ameer氏らによるこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に3月28日掲載された。Ameer氏は、「このアプリとデバイスは、疾患などが原因で膀胱の機能が低下し、トイレに行きたいのかどうかが判然としない患者にとって、画期的な解決策になるだろう」と述べている。

Ameer氏は、「手術や二分脊椎などの疾患により膀胱の神経がダメージを受けると、膀胱が満杯であることを感知できないことがよくある。このような患者に対しては、しばしばカテーテルを使って膀胱から尿を排出させるが、この処置は患者に不快感をもたらすだけでなく、痛みを伴う感染症に罹患するリスクも高める。われわれは、病院や臨床の場で行なう必要がある、このような侵襲性が高く、非常に不快な現行の膀胱機能モニタリング手順を回避したいと考えた」と研究背景を説明している。

研究グループが開発した、膀胱の外壁に取り付けて使用するインプラントデバイスは、柔らかくて柔軟性があり、電池も必要としない。膀胱の中に尿がたまるにつれ膀胱壁は引き伸ばされ、それとともにこのゴムのようなデバイスも引っ張られる。すると、デバイスに搭載された複数のセンサーがその「ひずみ」を検出し、それにより膀胱内の尿量をモニタリングする。蓄尿量の情報は、ワイヤレスでスマホのアプリに送信され、これにより、デバイス装着者はリアルタイムで膀胱の状態を追跡することができるという仕組みだ。

論文の共著者で、ノースウェスタン大学生体医工学分野のJohn Rogers氏は、「今回は、とても柔らかくて極薄な上に、伸縮可能なひずみゲージの開発に成功したことが重要な進歩だ。このひずみゲージは、膀胱の外面を優しく包み込み、自然な蓄尿とその排泄動作に機械的な制約を加えることがない」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

小動物を用いた実験では、このデバイスを用いて、膀胱の充満と排泄を30日間リアルタイムで追跡することができたという。さらに、ヒト以外の霊長類を使った追跡調査では、このデバイスを使って8週間にわたり膀胱の蓄尿量を追跡することに成功し、ごく少量の尿でもひずみを検出できることが確認できた。

Ameer氏は、「この研究では、本デバイスを人間用にスケールアップして初めて検証した。そして、この技術が長期的に機能し得ることを示した。使用状況に応じてこのデバイスを恒久的に体内に留置し、患者が完全回復した後に無害な形で溶解させることも可能だ」と話す。

研究グループは、このデバイスを、膀胱の再建や必要に応じて排尿を誘発するために使用できる他の新技術と組み合わせたいとの考えを示している。Ameer氏は、「このアプリは、蓄尿量をモニタリングするだけでなく、デバイス使用者に警告を送り、最寄りのトイレの場所を指示することができるようになる。また、将来的には患者がアプリを通じて、オンデマンドで排尿することができるようになるだろう」と述べている。(HealthDay News 2024年3月26日)

Copyright (C) 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://doi.org/10.1073/pnas.2400868121

Press Release
https://news.northwestern.edu/stories/2024/03/gotta-go-new-bladder-device-lets-you-know/

構成/DIME編集部

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