マイナンバー制度のスタートから来年ではや10年。マイナンバーの付与に始まり、マイナンバー付きの身分証明書の発行によって利用シーンがどんどん増えている。
その活用によって実はお得になったり、イベントの混雑緩和につながったりするメリットも出てきているようだ。今回はまだまだ知られていない「マイナカード」の最前線をご紹介しよう。
「マイナカード」は行政手続き以外での活用へと拡大中
マイナンバーは2015年10月に始まった制度で、日本で住民票を持つ人にはすべて12桁の番号が振り分けられている。
そのマイナンバーを記載し、ICチップにデータを埋め込んだ形で発行しているのがマイナンバー付きの身分証明書「マイナカード」。
「マイナカード」の導入により、行政機関への申請や書類の発行が手軽になったことの認知は広がっているが、実はほかにもメリットが生まれている。
■銀行や大学で広がる活用の幅
今急速に広まっているのが、民間事業者との連携。「公的個人認証サービス」という機能を活用したものである。
「マイナカード」のICチップに搭載された電子証明書を利用してオンラインで本人確認ができ、三井住友銀行や三菱UFJ銀行などの金融機関、野村証券といった証券会社での口座開設などで導入されている。
一部の大学ではオンライン授業のログイン証明や、卒業証書の発行などでも採用中だ。
■チケットの不正転売防止などエンタメ領域で役立つ可能性
「マイナカード」の利活用を推進するデジタル庁では、セキュリティに対する信頼度の向上や利用経験を増やすべく、様々なキャンペーン・体験イベントを行なっている。
新たな「マイナカード」活用の場として取り組みを進めているのが、エンタメ領域だ。2023年9月にデジタル庁にて行なわれた記者会見では、日本最大級のチケット販売サイト「ぴあ」を有するぴあ、そしてエンタメ領域に加えて地方創生にも取り組んでいるドリームインキュベータの2社を実証実験の実施事業者に採択したことを発表。
2024年3月2日(土)に国立代々木競技場第一体育館にて開催された「第38回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2024 SPRING/SUMMER」では、「マイナカード」で本人確認する先行抽選販売を実施。こちらのチケット購入者は実施当日には特別な入口から優先入場できた。
一方運営側では、「マイナカード」活⽤の実証実験に参加することで、ライブイベントなどで懸案だった不正転売防止における実用化が試されている。これが進めば、適正な価格でのチケット流通の一助になることが期待されている。
このほかにも、2024年2月3日(土)、4日(日)に長野県で行なわれた「アイスキャンディフェスティバル2024」では、特別入山届の提出として「マイナカード」を認証に活用する実証実験を実施。なお、この登山届の入力はアプリ「コンパス」を通じて行なっていた。
「例えば花火大会で、主催地域の市民であれば入れるエリアを設定するなども想定しています。実装するには、そういったことが可能な事業者と自治体が組んだり、自治体みずからが取り組んだり、 多少時間はかかってしまいますがだいぶ広がってきています」(デジタル庁担当者)