出生数が過去最小、少子化が急激に進む現状を鑑みて、2023年12月に「こども未来戦略」が策定された。これを受けて、3人目の児童手当拡充、3人以上子どもがいる子どもの大学無償化が実施されることになった。
児童手当拡充
2024年10月から支給される児童手当から、以下のように拡充される。
・所得制限撤廃
・高校生も支給対象
・3人目の支給額を増額
児童手当の支給は10月~翌年1月分が翌年2月に支給されることから、実際には2025年2月の振込分から支給額が増える。
例えば、3歳以上~小学生の子どもが3人いる家庭では、これまで年間合計42万円の支給であったのが、年間60万円受け取れるようになる。
もし、2024年10月以降に子どもが生まれる家庭では、4月2日生まれなら生涯234万円受給できる。小学生からは学齢で区切られているため、12月生まれなら生涯226万円と4月生まれの子より生涯受給額が減る。
また、3人目なら、4月2日生まれなら生涯648万円受給できる。
したがって、3人目がいる家庭では児童手当が最大合計1,116万円受給できる。これを3で割ると1人あたり372万円となる。
令和3年度入学者における私立大学の学費合計(4年間の場合)は平均約469万円であることから、児童手当で約8割賄える。さらに、3人目がいる家庭では大学無償化の制度がある。
(参考)
文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
私立大学年間授業料930,943円、年間施設設備費180,186円、入学金245,951円
私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について:文部科学省 (mext.go.jp)
大学無償化
大学無償化は、もともと、既に世帯年収380万円程度までは対象となっている。
そして、2024年から世帯年収600万円までその無償化の対象が広がる。
さらに、2026年からは、3人以上子どもがいる家庭で、所得制限なしで大学無償化の対象となる。
なお、大学費用が全て無償化されるわけではなく、以下のように一定金額が減免される。
大学(短期大学、専門学校含む)は、対象校に限られるが、日本にある大学なら98.1%が対象校であり、ほとんどが対象となっている。私立の医学部も対象となっており、6年間減免を受けられる。私立で全学年対象となれば、合計4年間で306万円の減免となり、令和3年度入学者における私立大学の学費合計(4年間の場合)は平均約469万円の約6割を賄える。そして、児童手当を考慮すれば3人目を持つ家庭は大学費用を大きく心配する必要がなくなる。しかしながら、3人の子どもの生み方によってその無償化を受けられる範囲が異なってくる。