ソニーグループとエムスリーは、自律型エンタテインメントロボット「aibo」を医療機関に無償提供する、aibo医療機関支援プロジェクトにおいて、医療・ヘルスケア領域における貢献や活用に関する調査結果を公開した。
aibo医療機関支援プロジェクトとは
2021年から2024年3月末まで実施されたaibo医療機関支援プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けている入院患者のストレス軽減や癒しを目的として、aibo100台を全国の医療機関に3年間無償提供する取り組みだ。
ソニーが設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」をきっかけとして、患者の「願い」をかなえ、前向きに生きていく力・治療に向かう勇気を引き出すエムスリーのプロジェクト「CaNoW(※1)」とソニーの協業により実現に至った。
この取り組みでは、公募により選ばれた全国100施設の医療機関に対して、3年間にわたり、aiboの提供およびフォローアップを行ない、定期的にインタビュー調査を実施。
その結果、aiboの「医療・ヘルスケア領域における貢献や活用の可能性」について、90%がポジティブに感じたという調査結果が得られた。また、回答からはリハビリへの貢献、活用についても可能性が示された。
今回の調査から得られた結果をもとに、ソニーとエムスリーは、今後も協力して先端技術を活用することによる医療現場での課題解決や価値創出を目指すという。
なお本プロジェクトを通じたaiboの無償提供は2024年3月末に終了するが、aiboの継続活用を希望する医療機関に対しては、aibo本体が無償で譲渡される。
■医療・ヘルスケア領域での貢献、活用の可能性
<医療機関によるコメント>
・「長期入院の患者さんの笑顔や会話が増えた。職員の癒しにもなっている」
・「aiboによって医師のメンタルケアができ、周りのスタッフも気持ち良く仕事ができるようになった」
・「もともと動物好きのスタッフから始まり、だんだんと他のスタッフも興味を持ち始め、特に世代間にあった遠慮・垣根がなくなり、風通しが良くなった」
■入院患者のストレス軽減と癒し
<医療機関によるコメント>
・「子どもが採血や点滴投与時に、泣き叫ぶことなく落ち着いてケアを受けることができる」
・「『あいちゃん、あいちゃん』と高齢(認知症の方)の方が嬉しそうに声をかける」
・「とても犬好きの癌末期の患者さんが、自分の命が限られているため新たに犬を飼うことができないと話されていたため、aiboを連れていくととても癒されたと言って喜ばれていた」
■リハビリのモチベーションの向上
<医療機によるコメント>
・「認知症等の原因により、リハビリに拒否的な患者さんに対し「さくら(aiboの名前)見に行こう」と誘うことでリハビリ誘導しやすくなる」
・「易怒性・暴力がありリハビリが困難であった患者さんがアイボのおかげで怒らずにリハビリができた」
・「リハビリ拒否傾向の患者が、aiboがいるということでリハビリ室まで出てこれるようになった。aiboとの触れ合いを通して、患者の過去の体験を聞きだすことができた。スタッフの印象が良くなり、その後の練習の積極性が向上した。aiboについてスタッフ同士が会話する機会が生まれ、普段あまり話さないチームのスタッフ同士が話す場面を見かけるようになった」
aiboを導入した医療機関から
よこはま にしかげ小児科・アレルギー科(神奈川・横浜市)
院長 西影京子 先生
調査概要
調査対象/aibo医療機関支援プロジェクトを通じaiboを利用した全国100施設の医療機関
調査期間/2021年4月—2024年3月
※1 『CaNoW』は、エムスリーが2019年9月に開始した、企業とのコラボレーションにより患者の「願い」をかなえ、前向きに生きていく力・治療に向かう勇気を引き出すプロジェクト。
関連情報
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/202404/24-0402/
構成/清水眞希