昨今、ペットの家族化やコロナ禍による自宅時間の増加に伴い、ペットを家の中で飼う人が増えている。実際、犬・猫においては90%以上が室内飼い(※)であるといわれている。
※出典/一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」
その結果、ペットの思わぬ行動によって火災を伴う事故が発生しているという。
そこで独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)から、ペットによる火災事故ついて注意を促すとともに、事故を防ぐポイントに関するリポートが届いたので、本稿にて概要をお伝えする。
2013年〜2022年までの年度別事故発生件数
(図1) 年度ごとの事故発生件数
図1で「年度ごとの事故発生件数」を示した。ペットによる事故は約9割(61件中54件)が火災事故に発展しているため、注意が必要だ。
製品別とペットの種類別による事故発生件数
表1 製品別・ペットの種類別の事故発生件数 ※()内は火災事故の件数
表1にペットによる事故61件の「製品別・ペットの種類別の事故発生件数」を示した。
製品別で件数が最も多いのはガスこんろで、犬や猫が操作ボタンを押したことで発火したと考えられる事故が発生している。
ペット別で件数が最も多いのは猫で、製品全般で事故が発生している。
また、猫はIHこんろや太陽光発電用パワーコンディショナー、プリンター等の高い位置にある製品に飛び乗って事故を発生させる傾向があり、猫の高い身体能力も事故に関係していると考えられる。
■事象別の事故発生件数と被害状況
表2 事象別の事故発生件数と被害状況
※()内は火災事故の件数
※6 トラッキング現象…ペットの尿などの液体の付着により、絶縁物の表面に放電が発生。電気の通り道である導電路(トラック)が形成されることで、配線間でショート(絶縁破壊)してしまうこと。
表2に「事象別の事故発生件数と被害状況」を示した。事象別では「ペットがこんろの操作ボタンやスイッチを押したことで発火」したものが最も多く、飼い主が外出時に留守番をしていたペットが死亡する事故も2件発生している。